【特派員オンライン】スマホ万能社会

西日本新聞 国際面 坂本 信博

 北京に着任して1週間。日本をはるかにしのぐ“スマートフォン万能社会”に驚いている。

 地下鉄やバスに乗るにも食事をするにも、中国のスマホ決済サービス「微信支付」(ウィーチャットペイ)か「支付宝」(アリペイ)が大前提。スマホ決済には現地の銀行口座が必要で、まだ準備が整っていないわが身は不便な上、肩身が狭い。

 食堂で現金を出すと「微信は?」と迷惑がられ、口座開設の用意で印鑑を作った時は「久々にお札を見た」と笑われた。

 商業施設などに入る際は、スマホ画面の「健康コード」を見せねばならない。行動記録から新型コロナウイルスの感染リスクが判別される仕組みだ。

 8月中旬、黒竜江省ハルビンで、スマホを持たぬ高齢者が健康コードを示せずバスに乗車拒否され、警官に連れ出された。その様子を撮ったという投稿動画が中国で話題を呼んでいる。

 政府系機関によると、中国のネットユーザーは今年3月で約9億人。すごい数だが、総人口は14億人。乳幼児などを除く約3億人が取り残されている計算になる。日本の先を行く便利さを体験しつつ、疎外される側の経験を忘れぬようにしたい。

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ