自民党総裁選 なぜ党員投票を省くのか

西日本新聞 オピニオン面

 なぜ地方の一般党員らの直接参加を拒むのか。これで「開かれた総裁選」と言えるのか-強い疑問を禁じ得ない。

 自民党はきのうの総務会で、安倍晋三首相の後継を選ぶ総裁選について、党員・党友も投票する通常の総裁選とはせず、一般党員らの投票を省く簡易型で実施すると決めた。

 自民党は党則で「総裁が任期中に欠け、特に緊急を要するとき」は、党大会に代わる両院議員総会で後任を選ぶことができるとしている。

 同党の二階俊博幹事長はこの規定を踏まえ「政治の空白をもたらしてはならないという国民の要望がある」などと説明していた。緊急時なのでやむを得ないという判断のようだ。

 しかし、この説明には納得できない。安倍首相の辞意表明は突然だったが、自ら記者会見で後任が決まるまで総理・総裁の職務は続けると言明している。首相の座は退くが、議員活動は続ける意向も示した。そもそも一刻を争うような「政治空白」など生じていないのだ。

 通常の総裁選であれば、党員・党友は国会議員と同数の394票を持つ。対等である。ところが緊急時の簡易型になると、国会議員票は同じなのに地方票は47都道府県連に3票ずつの計141票に激減する。

 国会議員票の比重が圧倒的に高まり、党員・党友票は地方組織票へ姿を変えて圧縮される。国会議員による「永田町の論理」が幅を利かす総裁選になると言っても過言ではあるまい。

 党内にも反対論がなかったわけではない。党青年局は党所属国会議員の3分の1を上回る140人超の署名を集め、党員・党友投票を実施するよう二階幹事長に申し入れていた。

 岩手県連や大阪府連などの地方組織も同趣旨の要求をしていた。総務会でも中堅や若手から異論が相次いだという。

 そんな党内世論を押し切ってまで、なぜ執行部は党員投票を省く方式に固執するのか。安倍首相を批判し、前回総裁選でも一騎打ちを演じた石破茂元幹事長が手堅く党員票を獲得した実績を意識したからではないかと勘繰られても仕方あるまい。

 総裁選は、党内の主要派閥が相次ぎ支持を打ち出す菅義偉官房長官が優位な情勢とされ、党員投票の実施を主張してきた石破氏と岸田文雄政調会長がこれに挑む構図が固まってきた。

 だが、国民の関心事は、単に誰が新総裁に選ばれるかという結果だけではない。どんな手続きや論議を通じて決まるか。そこにも注目していることを自民党は肝に銘じるべきである。

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