「防災あんしんセット」利用して 家庭用物資を安価で提供

西日本新聞 佐賀版 糸山 信

「おもやい」次の災害に備え

 昨年8月の記録的大雨で大規模な浸水被害が発生した佐賀県武雄市と大町町で、災害時に必要な物資を「防災あんしんセット」としてまとめ、各家庭に年会費500円で提供する取り組みが広がっている。被災地支援に尽力してきた同市の一般社団法人「おもやい」が、次の災害に備える取り組みとして力を入れている。

 「今年もまたいつ大雨が来るか分からない。準備ができ次第、手分けして各戸に届けたい」

 同町福母の下潟公民館で8月26日にあった打ち合わせ。下潟地区の千綿盛彦区長(73)ら集まった役員4人は、おもやいスタッフの尾崎真喜子さんとセットの配達方法などを確認した。

 67世帯約120人が暮らす下潟は1年前、ほぼすべての住宅が浸水。水には油が混じり川への排水が行えず、冠水は約1週間続いた。公民館内の柱には今も高さ約80センチの位置にはっきりと浸水の跡が残る。

 一方で家屋の修復などはほぼ終わり、「まだ戻ってないのは2世帯」というほど復旧は進んだが、千綿さんは「被災地としての教訓を何らかの形で残す必要を感じていた」と語る。

 当初は防災講演会を企画したが、新型コロナウイルス感染予防のために自粛。代案としておもやい側から提案を受けていたセットの普及を後押ししようと、回覧板で賛同者を募り、このうち75歳以上や身障者がいる世帯には希望すれば無料で贈ることを決めた。

 1年目のセットには、家屋の2階に垂直避難した際などに必要とされる懐中電灯や段ボールトイレ、食料品など計約20品目が含まれる。個別に買うと約1万円になるが、全国から寄せられた支援金を活用して会費を抑えた。2年目以降は賞味期限があるおかゆや水などをおもやいスタッフが定期的に補充し、同時に住民の現状なども確認する。

 おもやいによると、大町との境にある武雄市北方町では6月以降すでに約80戸が利用し、隣接する同市朝日町でも利用を呼び掛けている。鈴木隆太代表理事(44)は「大規模災害を防ぐことはできないが、可能な限り備えることはできる。セットを置くことで、少しでも地域の人たちの安心につながればいい」と話す。

(糸山信)

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