あの日、何を報じたか1945/9/4【暴行には証拠残せ 不法行為 最後まで抵抗せよ】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈アメリカ軍進駐以来、アメリカ軍の軍規は比較的厳正で進駐軍当局も暴行将兵に対しては軍律に照らし厳重処分する旨の布告を行っているが、今日までに暴行六件、掠奪その他不法行為三十八件という不祥事を惹起している。右につき内務省当局では次のごとく一般に注意をして今後これら不祥事件を防止するよう要望している〉

 米軍による鹿屋進駐を〈上首尾に終わった〉と伝え、日本軍将校との握手の様子を報じた記事の周りには、米兵による犯罪を防ぐことに多くの紙面が割かれていた。

 記事では防犯の心がけとして、以下のように項目を挙げている。

 〈(1)戸締りを厳重にすること(2)婦人の服装はさらに厳格にすること(3)不要不急のものは夜間外出せぬこと。殊に婦人は夜間少人数で歩かぬこと(4)万一、不法にも家宅に侵入されたときは大声を出し救助を求めること〉〈(6)隣組でお互いに警戒すること〉〈(8)時計、万年筆その他貴重品は目につく箇所に所持しないこと〉

 項目は全部で八つ。5番目と7番目は防犯ではなく、被害に遭った場合について詳述している。

 〈(5)不法将兵に対しては最後まで抵抗し噛みつくとか、引っ掻くとか、肩章をはぎ取るとか証拠となるべきものを残すこと〉〈(7)万一、暴行掠奪などの行為を行った際に決して泣き寝入りせぬこと、明確な証拠を提示して必ず届け出ること〉

 関連記事の見出しは〈昼間も玄関に鍵 外出用には清楚なモンペ〉〈不祥事はすぐ届け出よ 進駐地と俘虜解放地は特に注意〉などの見出しで、特に女性への注意を強調している。

 近くには、実際に米国人の捕虜が起こしたという事件の短い記事もある。見出しは〈酔って暴行〉。

 〈去る一日午後八時ごろ、長崎県北松浦郡江迎町在、潜龍炭鉱稼働中の米人俘虜四名は酩酊の上、潜龍駅長以下に暴行を加え、さらに硝子窓八枚を破壊し窓口から駅保管にかかる現金を強奪した。この現金は現場に急行した警察官によって取り戻し、その後平静に復したが、かかる不法行為に対して九州地方総監府では三日、西部軍管区司令部を通じ内務大臣宛および鹿屋連絡委員会気付広岡総監府第一部長宛打電。中央および現地折衝機関を通じて連合軍当局に抗議を申し込み、今後かかる不祥事件が生起せぬよう万全の措置を講ずることとなった〉(福間慎一)

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 〈〉の部分は当時の記事から引用。できるだけ原文のまま掲載。

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