「もう勘弁して」台風10号接近、警戒強める豪雨被災地

西日本新聞 熊本版 古川 努 中村 太郎 村田 直隆

 「特別警報級」の台風10号が接近し、熊本県内にも警戒感が広がる。漁港では船をロープで係留し、農家も対策に追われる。だが、完全な備えは難しい。7月豪雨の被災地に残るがれきや、沿岸部に野積みされた漂着ごみが飛散する恐れもぬぐえない。身近な災害リスクを確認し、危険な場合は早めに安全な場所へ-。「予防的避難」が肝要だ。

 2日に九州の西を通過した台風9号に続き、6日から7日にかけて台風10号が九州に接近・上陸する恐れがある。気象庁は記録的な暴風や高波、高潮、大雨を予想し、「最大級の警戒」を呼び掛けている。

 沿岸部では暴風に加え、高波や高潮に注意が必要だ。台風接近で気圧が下がると海面は「吸い上げ効果」で上昇し、強風で波が岸に押し寄せる「吹き寄せ効果」も合わさるからだ。天草市では台風9号の接近と大潮が重なった2日、魚貫(おにき)町で家屋の床下浸水が2件あったほか、市内各地で最大770戸が停電した。

 同市五和町通詞島の港では、2日から漁船が係留されていた。近くの漁師の男性(64)は「今回の台風はまともにやってくる。大きな被害が出なければ良いが」と不安そうに話した。

 宇土半島南岸には、球磨川から八代海に流出し、回収された流木やがれきが野積みされている。飛散しやすいごみに網をかけ、流木は低く積み直されているが、港湾関係者の男性は「9号は大丈夫だったが、10号では飛ぶんじゃないか」。もし大規模な高潮が発生すれば、津波のように押し流される危険性もある。

 7月豪雨の被災地にも不安が広がる。浸水被害を受けた人吉市上青井町の電器店経営、五島敬士さん(69)は3日、店のショーウインドーにベニヤ板を張って補強した。営業再開に向け、1週間前からリフォームを始めたばかり。「街は片付けが一段落し、やっと復興に動きだした。大雨も風も、もう勘弁してほしい」と願った。

 「いつになったら安心して暮らせるのか」。土砂やがれきが今も残る球磨村神瀬地区。村内の姉の家に身を寄せ、7月末に住み慣れた自宅に戻った主婦(57)は「集落がまた孤立するのが怖い」。事前に避難所に身を寄せるつもりだ。

 津奈木町岩城のかんきつ農家山口功登さん(45)は、自慢のデコポンの実に傷が入らないよう枝つり作業を急ぐ。ハウス施設の被害を防ぐため、ビニールは巻き上げ済みだ。

 豪雨ではハウスの一部に土砂が流入し、今後の生育に影響する可能性も。台風9号では無事だったが「次の台風の勢力は今までとは比較にならない。どれほどの被害が出るか想像がつかないが、できることはすべてしたい」と警戒を強めた。 (金子寛昭、古川努、中村太郎、村田直隆)

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