昆虫標本2万点町に寄贈 採集60年の元校長「自然に触れるきっかけに」

西日本新聞 北九州版 石黒 雅史

 福岡県みやこ町の元小学校長、松田勝弘さん(76)が60年以上かけて採集した昆虫2万点以上を収めた標本箱94箱を町に寄贈した。子どもの頃から野山を駆け回り、定年退職後は11カ国・地域にも渡って希少なチョウや甲虫などを追い掛けた。体力の衰えを理由に73歳で採集活動から引退。「子どもたちが地元の豊かな自然に触れるきっかけになれば」と寄贈した。

 小学5年のとき、北九州市で開かれた展覧会に出品した標本が小学生の部で特選を受賞し、昆虫のとりこになった。一番好きな昆虫はカミキリムシ。「大小変化に富んで美しく、ひげがかっこいいから」という。大学では県内のカミキリムシの分類を卒業論文にまとめたほどだ。

 北九州市の小学校に勤めながら近場で採集活動を続け、2004年に定年退職してからは遠方に出向いた。奄美大島(鹿児島県)や石垣島(沖縄県)など国内はもちろん、ペルーやフランス領ギアナ、インドネシアやマレーシア、アフリカのマダガスカル島にも渡った。ペルーでは足元に猛毒のヘビがいて驚いたことも。だが基本的には現地ガイドが安全な場所に案内するため、危険なことはなかったという。

 標本は、世界最大級のカブトムシとされるヘラクレスオオカブトや、羽が青く輝くモルフォチョウ、トンボ、クワガタムシ、ホタルなど多種。町によると、採集年次や場所、分類は学術仕様に従っており、資料価値が高いという。

 3年半前、足腰や視力に限界を感じ、南米ギアナ高地(ベネズエラなど)を最後に採集を終えた。「退職金はほぼ使い果たした。(許してくれた)妻に感謝している」と語る。かつて自身が夢中になったように「子どもは虫が好き。自然に親しむ教育に役立ててほしい」と町に託した。

 町は8月末、松田さんに感謝状を贈呈。標本は町歴史民俗博物館(豊津)が保管し、一部は入館無料スペースで今月末まで展示する。同館=0930(33)4666。 (石黒雅史)

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