自民党総裁候補 どう向き合う「負の遺産」

西日本新聞 オピニオン面

 「最長政権」から何を引き継ぎ、どこを変えるのか。多くの国民が知りたいテーマだ。それはトップリーダーを目指す自民党総裁候補の政治姿勢に直結する。「負の遺産」にどう向き合うか-についても、各候補は逃げずに議論を深めてほしい。

 安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党総裁選は、菅義偉官房長官の出馬表明で、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長による三つどもえの構図が確定した。

 党内主要派閥が相次いで支持を打ち出し、最有力視される菅氏は安倍路線の「継承と発展」を力説している。第2次安倍政権の発足以降、一貫して内閣のスポークスマンとされる官房長官を務め、官邸主導の政策決定で安倍首相を支え続けた。

 これに対し、岸田氏は経済や社会の格差是正を訴え「分断から協調へ」を唱える。安倍政権を評価した上で「この成果を土台に次の時代を考えていかねばならない」という立場だ。

 石破氏は「納得と共感」を掲げる。総主流派体制という党内にあって、非主流の立場で安倍首相と距離を置く。出馬会見で「勇気を持って真実を語り、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」と宣言した。

 3氏の基本的な政治姿勢をリトマス試験紙のようにあぶり出すのが、長期政権の弊害と指摘される森友・加計(かけ)学園問題や「桜を見る会」を巡る疑惑に対する見解ではないか。

 財務省の決裁文書改ざんに発展し、自殺した近畿財務局職員の遺族が真相究明を求め提訴している森友学園問題について、菅氏は「財務省関係の処分が行われ、検察も捜査を行い、既に結論が出ている」として再調査はしないと明言した。獣医学部新設を巡る疑惑がもたれた加計学園問題にも「法令にのっとり検討が進められた」と従来の政府見解を繰り返した。

 これに対し石破氏は「検証すべきことがあれば検証しなければならない。何かごまかしていると思われれば納得も共感も得られない」と踏み込んだ。岸田氏は「実際どうだったのかについて、話を聞くことは当然しなければならない」と述べるにとどめた。まさに三者三様だ。

 一連の問題や疑惑は全容が解明されていないという意味で現在進行形でもある。例えば現政権が否定する森友学園問題の再調査を巡り、共同通信社の世論調査(7月17~19日実施)によれば「政府は再調査する必要がある」という回答は82・7%に及んだ。自民党支持層でも71・7%だったことは改めて注目していい。長期政権の功罪を見極める総裁選とすべきである。

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