突然の発疹、強いかゆみが何日も…どこで刺された?原因の正体は

西日本新聞 くらし面 川口 史帆

 突然発疹し、強いかゆみが何日も続く。この季節、毒を持つ毛虫、チャドクガの幼虫による皮膚炎が増えるという。記者も先日被害に遭ったが、どこで刺されたか見当もつかない。一体何者なのか-? 正体と対策を専門家に聞いた。

 先月上旬、腕に直径1センチほどの赤い腫れが複数できた。蚊に刺されたかと放置していると、みるみる腫れが数十個に増え、脇や首にも。かゆくて寝付けず、皮膚科に駆け込んだ。医師は一目見て「この虫ですね」。黄色っぽい体に黒の斑点。木の葉に群がる毛虫の写真を見せてくれた。

 チャドクガは国内では岩手県以南に生息し、ツバキやサザンカなどツバキ科の植物に卵を産む。葉を食べて育つ幼虫には肉眼では見えない長さ約0・1ミリの「毒針毛(どくしんもう)」が1匹当たり数十万本あり、人間の皮膚に刺さると、1~2日後に毒成分のヒスタミンが腫れやかゆみを引き起こす。

 よしき皮膚科・形成外科(福岡県福津市)にはチャドグガの皮膚炎で毎年30~40人が来院。今年も8月末までに約30人が受診した。吉木竜太郎院長(44)によると、患者の多くが毛虫が原因とは思わず「ぶつぶつが急に出た」「アレルギーですか」と訴えるという。

 チャドクガは1年に4~6月と8~9月の2回ふ化する。被害が増えるのも同じ時期。この頃にかゆみを伴う発疹がたくさん出たら、その疑いが濃い。かくと悪化するので、セロハンテープなどを当てて毒針毛を除去し、せっけんで洗った後に皮膚科へ行くことを勧める。放置するとかゆみが1カ月ほど続き、いぼのような跡が残ることもある。

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 どこで刺されるのか。九州大大学院農学研究院の広渡俊哉教授(61)=昆虫学=は「毎年どこかで大量発生する。条件ははっきりしないが、都市部の公園で目立つ」と話す。ツバキなどは街路樹や垣根、庭木として植栽され身近に多い。森林に比べて鳥やスズメバチ、寄生虫などの天敵が少ないのも大量発生の一因と考えられる。温暖な場所ほど増えやすいという。

 毒針毛は抜けやすく、近づいたり触ったりしなくても花粉のように離れた人や洗濯物に付くこともある。

 どう防ぐか。福岡市植物園(同市中央区)の緑の相談員吉積正孝さん(67)によると、垣根ややぶの近くでは長袖、長ズボンを着るのが一番だ。卵や成虫にも毒針毛があるので触れないこと。ツバキなどがどこにあるか、近所の公園や道ばたを確認しておこう。見つけたら自分で駆除せず、自治体など管理者に連絡を。

 栽培者の心掛けも肝要だ。チャドクガは手入れ不足の木に発生しやすい。剪定(せんてい)して風通しや日当たりを良くすれば、産卵数が減る。卵や幼虫を見つけたら、殺虫剤で駆除するだけでなく、周囲の枝葉も切り、袋などに密閉して処分する。放置すると毒針毛が舞って被害が広がる。ツバキやサザンカは幼虫がいない秋から春にかけて薄紅や赤色の美しい花が咲く。「植物まで毛嫌いされないようしっかり対策を取って」と吉積さんは呼びかける。 (川口史帆)

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