「元の生活いつ」住民不安 自宅修繕に人手の壁 全半壊相次ぎ業者不足

西日本新聞 一面 村田 直隆

 7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県南部では、被災した住宅の片付けが進むが、建設業者などの人手が足りず自宅の修理を始められないケースが多い。台風10号も近づく。「いつ元の生活に戻れるのか」。不安は尽きない。

 氾濫した球磨川沿いの芦北町白石地区。家々は1階部分の窓が外れ、床や壁が剥がれている。

 「片付けは一段落した。ここから先は大工さんに見てもらわないとどうしようもない」。坂本ヤチ子さん(71)は、空っぽになった自宅を見てつぶやいた。

 7月4日、築20年の自宅は1階の天井まで漬かった。被害の判定は「全壊」。これからも住み続けるつもりで、この家を建てた町内の業者に改修を頼んだ。

 この2カ月間、自宅2階で夫清人さん(71)と暮らす。今もボイラーが使えず、毎日約4キロ離れた町営温泉に通う。「(外れている窓から)雨が降り込めば、片付けが台無しになるかも」と嘆く。台風による二次災害も怖い。

 芦北町で全半壊した家屋は2日時点で1024棟。町内で住宅の建築・修理を手掛けるのは40業者ほど。一人親方の一本一心(いちもといっしん)さん(59)=同町桑原=は被災者が入居する町営住宅の修繕を含め、30件を超す依頼を受ける。現在も4軒の修繕を掛け持ちし、休む暇がない。見積もりを取っていない家屋も10軒以上あり、断った依頼もある。

 3年前まで従業員を4人雇っていたが、全員が高齢を理由に退職した。「田舎では職人は減る一方で、人のつながりが強く、再建が遅れても顔見知りに頼みたい人は多い」と言う。

 行政も業者不足を認識している。熊本県は建築関係団体と協力し、7月20日から住宅修理に関する無料電話相談を始めた。8月からは人吉市や芦北町、八代市に休日相談窓口も設置した。熊本地震では仮設住宅の建設に注力し、専用の相談窓口を設けなかった反省も踏まえたという。8月30日時点で265件の相談があり、業者の紹介を求める声は3割近くに達した。

 全半壊が2200棟を超す人吉市では、100件近い修理依頼を引き受けた業者もおり、「何年かかるか分からない」との声も聞こえる。県建設課は「新型コロナウイルス禍で他県から参入しづらいことが、業者不足に拍車を掛けている」とみる。

 県は、仮設住宅の建設を手掛ける被災地以外の複数の建築団体に協力を依頼。団体の加盟業者が被災者の相談に応じ、施工を請け負うケースも増えている。県担当者は「生活再建への不安を少しでも和らげていきたい」としている。 (村田直隆)

熊本総局が移転しました

熊本総局 移転先地図

西日本新聞熊本総局が移転しました。新しい総局は、熊本市中央区の熊本桜町バスターミナルに近い坪井川沿いです。電話、FAX番号も変更となりました。

▼移転先
住所 〒860―0805 熊本市中央区桜町2番17号第2甲斐田ビル9階
電話 096(323)1851
FAX 096(323)1853

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ