台風備え政府万全か 「危機管理の要」菅氏多忙  総裁選影響の懸念も

西日本新聞 総合面

 自民党総裁選が事実上始動する中、「史上最強クラス」の台風10号が九州に近づいている。政府は災害対策に万全を期す構えだが、安倍晋三首相は持病の再発に不安を抱え、危機管理の要である菅義偉官房長官も、総裁選の8日告示に向けた出馬準備と同時並行の指揮となる。

 4日、首相は台風10号に備えた関係閣僚会議を官邸で開催し、「分かりやすい情報発信を徹底し、自治体や関係機関と緊密に連携しながら先手先手の対策を講じるように」と指示した。辞任表明からちょうど1週間を迎えたが、顔色は良く声は通った。

 同じ会議に出席した菅氏。立候補する総裁選では既に5派閥の支持を取り付け、圧倒的優位に立っている。この日も同じ法政大出身の議員と面会したり、報道各社のインタビューを受けたり、訴えの浸透に余念がない。

 政務に加え、福井県で震度5弱を記録した地震の被害情報を収集し、2回の定例記者会見もこなし、台風10号に関して「備蓄品や避難経路を確認して」と国民に呼び掛けた。目の回るような活動量だ。

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 8月24日、首相の連続在任日数が史上最長に達した第2次安倍政権は、国民に安心感を与える危機管理対応の巧みさが特徴の一つ。熊本地震や九州での度重なる豪雨災害で「プッシュ型支援」を展開し、首相は「できることは全てやる」と訴え、菅氏はその陣頭指揮を執ってきた。

 今は、その2トップが公務に専念できる状況とはやや異なるが、政府は台風10号が短時間に発達している事態を踏まえ、異例の前倒し対応を取っている。3日に情報連絡室を設置し、4日には国土交通省と気象庁が2日連続で合同会見を開き、国民に情報提供。武田良太防災相も臨時記者会見を開いた。

 省庁や関係機関は経験を踏まえたマニュアルを備えており、民間のシンクタンク「防災システム研究所」の山村武彦所長は「仮にトップが不在であっても、行政機関はルール通りに動くので問題ない」と話す。

 一方で、「仮に台風被害が長期化し、政治の判断が必要になるような場面が出てくれば、総裁選の影響が出るかもしれない」(内閣府幹部)との懸念の声も。新総裁選出の後に新内閣発足となるため、閣僚や副大臣、政務官の交代時期と災害対応が同時進行になってしまう可能性がある。

 昨秋に甚大な被害をもたらした台風災害も内閣改造の時期と重なり、「初動が遅れた」との世論の批判が支持率低下につながった。自民党中堅は「次期政権が幸先よい支持率で船出するためにも、菅氏には危機管理第一で対応してもらいたい」と求めた。 (東京支社取材班)

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