ベラルーシ混乱 独裁政権は対話に応じよ

西日本新聞 オピニオン面

 ロシアの隣国ベラルーシで大統領選の不正を訴える大規模な抗議活動が続いている。ルカシェンコ政権は反政権派に対する弾圧をやめ、公正な選挙を求める民意に向き合うべきだ。

 先月の大統領選は1994年から26年にも及ぶ大統領の座を維持したい現職ルカシェンコ氏の強権ぶりが際立った。

 まず有力な対抗馬と目された反政権派の活動家を当局が拘束し、立候補資格を奪った。選挙戦では、その活動家の代わりに立候補した妻のチハノフスカヤ氏が公正な選挙の実施と政権交代を訴え、支持を広げていた。

 ところが、選管はルカシェンコ氏が8割の得票で6選を決めたと発表する。直後から抗議のうねりが国内全土に広がった。デモの規模の大きさから選管発表への疑念の強さが分かる。

 多くの国民が選挙の不正を糾弾し、そのやり直しを求めている背景には、長年の圧政に募らせてきた不満がある。

 ルカシェンコ氏は2期目の2004年に国民投票を経る形で大統領3選を禁じた憲法条項を削除し、長期政権への道を開いた。「欧州最後の独裁者」と呼ばれるのは、そうした強権統治が続くためである。

 加えて、ロシアに依存している経済が冷え込む中で新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。ルカシェンコ氏は事態を軽視して「ウオッカを飲めば治る」などと言い放ち、国民の反感を一気に高めた。

 選挙後の反政権デモに対する弾圧も甚だしい。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はデモ参加者への拷問や虐待が450件あったと指摘し、ベラルーシ政府に暴力の停止と当局者の処罰を求めている。

 反政権派は対話による政権移行を訴えている。ルカシェンコ氏がなすべきは長期独裁が行き詰まっている現実を受け入れ、反政権派との対話に臨んで事態収拾を図ることだ。政権の正統性を主張するのであれば、透明性を確保した選挙を実施するのが民主主義の道理だろう。

 もう一つ気掛かりなのは、このベラルーシの混乱を巡る欧米とロシアの対立激化である。

 欧州連合(EU)は民主化を支援する立場から選挙結果を認めず、制裁を決めた。逆にロシアのプーチン大統領は選挙の正当性を認めると表明した。親ロの現政権が倒れ、親欧米に傾く事態を恐れてのことだろう。

 ロシアが14年にベラルーシの南隣ウクライナクリミアを併合して以降、ロシアと欧州の関係は悪化した。ロシアはベラルーシに力による介入をしてはならない。EUも冷静な対応に努め、国際社会は政権と反政権派の対話を促すべきだ。

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