盗人ともいえる悪者です。福沢諭吉がそう言い、芥川龍之介も…

西日本新聞 オピニオン面

 盗人ともいえる悪者です。福沢諭吉がそう言い、芥川龍之介も悪者として小説で書いたと、ある絵本の解説で知って「?」となり、調べてみたくなったという。桃太郎のことだ

▼倉持よつばさん(千葉県袖ケ浦市)は、2年前、小学5年の夏休みに図書館を巡った。桃太郎の本が90冊以上(多くは1970年代以降発行)あった。悪者と思わせる本は6冊だけだった。少しホッとした

▼桃太郎が鬼ケ島に行ったのは悪い鬼を退治するため、となっている本が多い。別の疑問が湧く。悪者と言う人がいるのはどうして?

▼昔の本も調べた。江戸時代から明治時代にかけての本の多くは、鬼が悪さをしたとは特に書かれていない。鬼は悪、が前提のようだ。前提なしに読むと様子が違ってくる。明治の唱歌「桃太郎」の歌詞を全部読んで倉持さんは思った。「無理やり宝を」「ひどい」

▼そのほかいろいろと調べて分かったことを整理して書いた。調べ学習のコンクールで賞をもらい、「桃太郎は盗人なのか? 『桃太郎』から考える鬼の正体」(新日本出版社)の題で昨夏出版された

▼題にもあるように三つ目の疑問は「鬼はもともと悪者なの?」。図書館では優しい鬼にも出合った。鬼についても調べていき、作家椎名誠さんによれば「人と鬼」の巨大な謎の解明に小学生が近づいた。倉持さんはいくつもの「なぜ?」で本の森に分け入って、自分で答えを探した。

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