鹿児島国体延期 佐賀との連続開催に期待

西日本新聞 オピニオン面

 3年後と4年後に2年連続で全国のスポーツ関係者が九州に集うことになりそうだ。新しい国民的スポーツイベントの在り方を発信する契機としたい。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、鹿児島県が今年の開催を断念した第75回国民体育大会(国体)と第20回全国障害者スポーツ大会が2023年へ延期される方向だ。

 23年は当初、国体から名称が「国民スポーツ大会(国スポ)」に変わって最初の大会の佐賀県開催が内定していたが、鹿児島県の要望に応じて佐賀県が翌24年への延期を了承した。

 今後、鹿児島大会の延期は主催の日本スポーツ協会やスポーツ庁が協議し、佐賀大会の延期は同協会理事会が正式に決定する運びという。国体が延期となれば、史上初のことだ。

 鹿児島国体の開催断念から約2カ月という短期間で、一定の打開策が示されたことは評価できる。多くの関係者が胸をなで下ろしているのではないか。

 10月に予定されていた鹿児島国体は選手・役員約28万人が参加し、本年度までの県内自治体の関連予算は285億円と推計される。観客52万人、600億円超の経済効果を見込んでいたため、完全中止となれば地元経済への影響も大きかった。

 佐賀県も初の国スポに向けてメイン施設新設や陸上競技場改修などを進めてきた。県を挙げて強化してきた競技もある。

 延期は重い決断と言えよう。佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は2年連続となる両県の大会を「双子の大会」と位置付け、参加を目指す選手の強化を従来以上に支援する考えを示した。この前向きな対応には励まされる。

 国体は戦後間もない1946年、スポーツを通じ国民に勇気と希望を与えようと始まり、地方にも競技施設や団体が整備されるなど一定の成果を上げてきた。他方、開催地の過重な負担なども指摘され、近年は「21世紀の国体」にふさわしい姿を目指す改革が進む。有力選手の発掘・育成や地域活性化といった新たな使命も課せられている。

 「国スポ」への名称変更は、教育色の強い「体育」から国際標準の「スポーツ」に変えることで、スポーツの持つ多様性を社会変革に生かす国際的な動きとも協調しようという狙いだ。

 その節目ともなる、最後の国体と初の国スポを九州で連続して開催できることは意味のあることだ。九州一体で盛り上げ、全国に手本を示したい。
 今回の延期は2029年まで固まっている開催地にも影響が及ぶ。コロナ禍の状況次第では21年に予定される三重大会の延期もあり得るだろう。関係者には入念な調整をお願いしたい。

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