命や人権 思いを深め 胎児性水俣病患者とリモート交流 野上小5年生

西日本新聞 大分・日田玖珠版 吉田 賢治

 大分県九重町の野上小(安達昌利校長)の5年生25人が1日、熊本県水俣市の胎児性水俣病患者とビデオ会議システムを使って交流した。総合学習の授業の一環で、患者さんとの直接の対話を通じて、命や人権への思いを深めた。

 同小の脇を流れる野上川は、筑後川から有明海へと注ぎ、さらに水俣病が発生した八代海にもつながっている。そこで「命育む水」をキーワードに、児童たちにさまざまな体験活動をしてもらい、水俣病や差別の問題を学んでもらおうと企画された。

 この日の交流は、水俣市を訪問して実施予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮。胎児性患者4人が所属する同市の事業所と教室を映像で結ぶリモート形式で行われた。

 いずれも50代後半以上となった4人は「病院内にできた小学校に12歳で初めて通い、その思い出が私の宝物」「(体は不自由でも)いろんなことに挑戦し、生きる希望は失わなかった」などと、人生を振り返りながら自己紹介。か細い途切れ途切れの言葉であっても、児童たちは耳をそばだてて懸命に聞いた。

 事前学習で水俣病を学んでいた児童たちは、それぞれの質問もぶつけた。「差別を受けた時の気持ちは」と問われた胎児性患者の永本賢二さんは「とても悔しかったが、自分も別の差別をしていないかと思った」と心の内を吐露。「私たちに何を望みますか」と聞かれた金子雄二さんは「水俣病を研究する医者になってほしい」と呼び掛けた。

 約2時間の授業に取り組んだ矢方奨馬さん(10)は「患者さんたちが人一倍努力し、自分たちに思いを懸命に伝えようとしているのもよく分かった。人を傷つけてしまう差別はしてはいけないと思った」と話した。

 (吉田賢治)

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