半世紀を経て…鞍高文集「復活」 卒業生発見、手作り冊子で配布

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 福岡県立鞍手高(福岡県直方市山部)が1966年2月に発行した「鞍高文集-全校短歌集」が、市内の卒業生宅で見つかった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、毎年約千人が母校に集まる同窓会総会「鞍陵祭」が中止になる中、思わぬ朗報に同窓生たちは「友をつなぎ、高校時代を懐かしむよすがとなった」と喜んでいる。

 文集は縦約15センチ、横約10・5センチ、厚さ約0・7センチ。112ページの小さな一冊に、当時の全校生徒が詠んだ短歌が収められている。国語科教諭の神谷貫一さんがつづった巻頭文には「全校生徒一千三百六十余名の現段階を記念する愛すべき第一歌集であり、まさしく心象素顔のアルバム」とある。

 見つけたのは、同市頓野の谷口恵子さん(72)=66年卒業、18回生。自宅で物品の整理中、卒業アルバムなどとともに出てきたという。「何度か引っ越しをしてきたが、そのたびに大事に持ち続けてきたのでしょうか。文集の存在はすっかり忘れていた」

 直後に親しい同級生数人と茶話会を開いて紹介したところ、「みんな覚えていなかった。でも、自分や気になっていた人の短歌を探しては読み、54年前に戻ったような気持ちになれた」と谷口さん。同席した福智町の柴田ムツ子さん(72)がメールや無料通信アプリ「LINE(ライン)」で同級生に知らせると、「想像していた以上に反響があった」という。

 その後、柴田さんら同級生でつくる「いっぱち会」の福岡や関東、関西の会員の短歌をパソコンで書き起こし、約80人に手紙とともに送付。同会代表幹事で同市頓野の渡辺睦男さん(72)も冊子を手作りし、約50人に配った。柴田さんは「高校時代を懐かしみ、コロナ禍で少しでも心の癒やしになればと、連絡の取れる同級生に届けた」と話す。

 谷口さんの作品は「友達と未来を語り下る坂夕日に映ゆるすずかけの樹樹」。県外の短大進学を控えており、「未来への希望が満ちあふれていた」と当時の心境を思い起こす。柴田さんは、校内に開設されたばかりの食堂に集う生徒の様子を「昼食のベルが鳴るなり騒がしく食堂へ急ぐ童顔多し」、バスケットボール部で奮闘していた渡辺さんは「学年の最後の行事マラソンに男を上げんと死にものぐるい」と詠んだ。

 渡辺さんは「私たちは『団塊の世代』。激動の時代をがむしゃらに生きてきた」と振り返る。コロナの影響で来年の「いっぱち会」総会は開催が難しいという中、「75歳を迎える年にまた短歌を詠み、文集をつくりたい。元気に過ごせ、文集に参加できるとなれば、幸せなことだ」と願いを込めた。 (安部裕視)

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