「どうしたら…」3年連続冠水、さらに台風 農家ため息

西日本新聞 筑後版 内田 完爾 渋田 祐一 野村 大輔

 九州各地に大きな被害をもたらした台風10号の通過から一夜明けた8日、福岡県筑後地区では吹き返しの風も収まったことから復旧に取り組む農家の姿が見られた。ビニールハウスが大破した小郡市のイチゴ農家木村朋也さん(26)の一家は、7月に3年連続となる豪雨被害を受けた後、今回の台風に見舞われた。「どうしたらいいのか…」。肩を落としながらも、ハウスの再建を急いでいた。

 折れ曲がった金属のパイプが散乱し、ビニールがはがれたハウスを前に木村さんと父の博佳さん(53)はぼうぜんと立ち尽くした。「まさかこんなことになるとは。30年近く農業をやっているが、こんなに災害が続くことはなかった」

 7日朝、心配して見に来るとハウス3棟が甚大な被害を受けていた。連作障害防止のため、土壌表面にビニールを敷く熱消毒を終え、あとはビニールを外して苗を植えるだけ、という矢先の被害。台風対策でハウスのビニールは取り外していたが、土壌のビニールが強風で吹き上がり、パイプを破損した。博佳さんは「風ばかりで雨が少なかったので、ビニールに水がたまらず軽くなったのか。想定できなかった」と話した。

 イチゴが最も売れる11月下旬~12月の収穫から逆算すると、今月20日には育てた苗をハウスに定植する必要がある。7月豪雨などの影響で苗の生育も悪く、ハウス再建を業者に頼む時間的余裕はない。木村さんは「どう片付けようか」とこぼしながらも、作業に取りかかった。曲がっていない金属パイプを再利用し、パワーショベルで支柱を立て直して再建するつもりだ。

 ハウスは7月豪雨でも冠水。2018年の西日本豪雨と19年の大雨でも、苗が水につかった。木村さんは「どこか水に漬かりにくいところに移転させて、ここは水田にするしかないのだろうか」と力なくこぼす。ただ、それには経費も時間もかかる。代替地があるかも分からず、今のところ答えは見いだせない。「とりあえず、今は収穫に向けて目の前のことをやるしかない」。木村さんは作業の手を休めず語った。

   ◇    ◇

 一方、果樹農家は落果を回収し、今後に不安を募らせた。うきは市吉井町屋部の平田節男さん(72)は、栽培するブドウとカキに被害が出た。特に枝が折れたり葉が大量に落ちたりしたカキについては、実の成育を心配する。「病害虫が木の傷口から入らないよう早く消毒をしたいが、ブドウの収穫を終えてないので手が回らない」と心配する。

 JAにじ営農企画課の宮本泰照(ひろあき)課長は、数日後から出荷が始まる柿のわせ品種について、「出荷が早いことでそれなりの価格を見込んでいるが、傷などで単価が下がれば農家の収入に響く」とこぼした。 (内田完爾、渋田祐一)

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