菅氏支持5派閥、早くもポスト争い 新政権見据え“派利派略”むき出し

西日本新聞 総合面

 14日投開票の自民党総裁選で、菅義偉官房長官の支持を打ち出して圧倒的優位な情勢に導いた5派閥が場外戦の様相だ。「菅政権」誕生を見越し、閣僚や党の重要ポストをうかがいアピールし合う。度を過ぎた“派利派略”が次期内閣の「足かせ」となったり、主流派分裂を引き起こしたりするとの臆測も飛んでいる。

 告示前日の7日夕、国会内に麻生太郎副総理兼財務相率いる麻生派所属の参院議員約10人が集った。党内第2派閥は菅氏陣営の一翼を担う。事前に報道陣に案内を出す念の入れようで、カメラに向け一斉に拳を突き上げ「総裁選、頑張ろー」。幹部は「(菅氏選対で)最も大きな役割を担っていきたい」と話し、選挙後にやってくる派閥間の主導権争いで後手に回らぬ決意をみなぎらせた。

 安倍晋三首相の盟友で精神安定剤とも称される麻生氏は、政権を「ど真ん中」で支えてきた自負が強い。その継承者を自任する菅氏は、麻生派にとって「首相の思いと政策を遂行できる唯一の候補者」(麻生氏周辺)。首相が務めるはずだった残り1年の総裁任期中、麻生派は引き続き人事面で厚遇されてしかるべきだ-との打算が透ける。

 同様に、首相の出身派閥で党内最大の細田派も盛んに情報戦を仕掛けている。「森喜朗元首相が幹部に『官房長官と党三役を取れ』と指令を出した」「首相に近い下村博文氏が入閣希望リストをまとめた」…。最長政権の礎となったメンツと威信を懸け、党内をけん制。麻生派、名門派閥の竹下派と3派だけで、菅氏を担ぐ共同記者会見を開く奇手さえ見せた。

 いずれの派閥も、目線の先にとらえるのは二階派の二階俊博幹事長の背だ。

 首相の退陣表明後、いち早く菅氏と接触、気脈を通じる森山裕国対委員長の石原派と相乗りで「菅氏支持」を表明、一気に流れをつくった。総裁選の告示前から幹事長続投説が取り沙汰され、他派閥は「菅氏との間で既に密約が交わされたのでは」(陣営関係者)と疑心暗鬼を募らせる。

     ■ 

 菅氏の推薦人となった20人の顔ぶれも、入閣待機組とされるベテランを押し込む派閥もあり、「各派閥の論功行賞狙い」(自民関係者)の思惑が色濃い。

 こうしたさや当てを意識してか、当の菅氏は8日、「人事は適材適所。改革意欲のある人を優先して考えたい」と派閥にとらわれない意向を示した。だが、額面通り受け取る向きはない。

 安倍政権の主要ポストを留任させる居抜き人事か、一定の派閥均衡型人事か、信賞必罰を前面に出した「菅カラー」人事か-。過熱するばかりの党内に、菅氏陣営からは「派閥を無視するなんてできない。任じられれば誰でも『適材適所』だ」と予防線を張る声の一方、「一歩間違えれば空中分解しかねない」との懸念も。

 衆院解散戦略とも絡む次期総裁による党役員人事と組閣は15、16日。

 (河合仁志)

PR

政治 アクセスランキング

PR

注目のテーマ