久留米競輪の収益向上へ 施設縮小、ミッドナイトレース提案

西日本新聞 筑後版 野村 大輔

課題は設備投資の財源

 福岡県久留米市が運営する久留米競輪の収益向上に向けた基本構想を、地元出身の元競輪選手、中野浩一さん(64)ら有識者でつくる検討委員会がまとめた。運営経費を削減し、新たなファンの開拓を求める内容になっている。基本構想を手に競輪場を歩いてみると、早期実現の必要性を痛感する一方で、ハードルがかなり高そうにも感じた。

 市競輪事業課の長沼正和さん(45)に場内を案内してもらった。その日は久留米でのレースはなく、他の競輪場で催されるレースの場外車券が売られていた。新型コロナウイルスの影響があるとはいえ、入場者は少なく、高齢者の姿が目立つ。「カップルや親子連れにも足を運んでもらいたいのですが…」と長沼さん。

 久留米競輪は1949年に開設された。市によると、入場者のピークは92年度の34万3455人で、この年の売り上げは約227億円。近年はレジャーの多様化やファンの高齢化に伴って客足が遠のき、2018年度は入場者2万3175人、売り上げ約156億円にまで落ち込んだ。

 毎年、収益の一部は市の一般会計予算に繰り出される。ピーク時は15億円あったが、18年度は1億5千万円に。それでも「(使途が特定されない)一般財源になるので、市の重要な収入源」(市財政課)だ。

 市は競輪事業の収支改善のため、17年度に中期運営計画を策定。昨年、中野さんや競輪振興法人の元アドバイザー、現役選手ら有識者5人でつくる検討委を設け、助言を求めていた。

 検討委は短期施策(1~3年後)の一つとして、午後9時以降の「ミッドナイト競輪」開催を提案した。無観客で行うため警備費や人件費が抑えられ、“コスパ”がいい。帰宅後の会社員らがインターネットでレースを楽しむ需要を見すえた戦略だ。

 もう一つは施設のコンパクト化。入場者数が最盛期の10分の1以下に減り、現状の施設は大きすぎる。車券発売所の窓口の多くは使われず、メインスタンドや特別観覧席(有料)の一部も閉鎖された。1960~70年代に建った施設が多く、長沼さんは「老朽化も閉鎖理由の一つ」と話す。

 武雄競輪場(佐賀県武雄市)の先行事例が参考になる。担当者によると、2016年にメインスタンドを建て替え、収容人数を従来施設の7800人から千人に縮小したことで数百人いた従業員は約50人に減った。一方、照明設備を新設してナイター、ミッドナイト競輪を始めたことで売り上げは14年度の約100億円から17年度は約160億円に増えた。コンパクト化の収益向上効果は明白だが、建て替えには多額の費用が必要だ。武雄市は約20億円を投じたという。

 久留米競輪の中長期施策(4~10年後)では、キャッシュレス投票機の導入やネット社会への対応、飲食施設の充実などが提案された。入場者増加、多様化を狙ったアイデアだが、やはり設備投資は欠かせない。

 検討委は8月25日に基本構想を大久保勉市長に提出、中野さんは「市民、地域に親しまれる競輪場にしてほしい」と求めた。大久保市長は「構想の実現に向けてまい進したい」と応じたものの、市財政だけでの実現は難しく「民間の活用が重要だ」と強調した。

(野村大輔)

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