5年ほど前、戦時下に特攻隊員から…

西日本新聞 社会面 立山 和久

 5年ほど前、戦時下に特攻隊員から手紙をもらった女性に話をうかがったことがある。当時、隊員を慰労するため、地元の民家が食事に招くことがあった。武運を祈り、人形と鏡を渡した。出撃後、遺品としてその手紙が届いた。

 「いただいたミラーはあなたのハート、人形はあなたの分身と思って、しっかり胸に抱いて突入します。折あらばまた」。女性は結びの言葉にいまも胸を締め付けられるという。特攻は十死零生。かなわぬ再会を願った隊員の心情はいかばかりだったか。

 今夏も遺族らを訪ね歩いたが、あまたの悲劇を掘り起こし、光を当てる機会は年々減っていると痛感する。後日頂いた女性からの手紙には「さきの戦争15年間が青春の真っただ中だった私たち世代が少なくなり、寂しい限りです」と記されていた。戦争を風化させず次代に伝えるために、いま何ができるのか。隊員の手紙をかみしめながら自問している。 (立山和久)

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