【特派員オンライン】サイバー万里の長城

西日本新聞 国際面 坂本 信博

 中国入りして1カ月。中国外務省から常駐記者証が交付され、やっと街角で取材ができるようになった。北京出身の20代男性に名刺を渡したところ「西日本新聞のあなたの記事を読みましたよ」と返され、驚いた。

 8月下旬、入国後14日間の隔離生活をまとめた「あなたの特派員・コロナ中国隔離ルポ」を本紙夕刊に連載した。その内容が、中国共産党機関紙・人民日報など複数のウェブメディアにいつの間にか翻訳・転載されており、彼も目にしたという。

 本紙を含め日本メディアも「人民日報によると」と現地報道を転電するのは珍しくない。ただ、一地方紙記者のルポをなぜ?と疑問だったが、「中国の防疫体制について日本人がどう考えたかが注目されたのだと思います」と彼が解説してくれた。

 会員制交流サイト(SNS)で世界の人々とつながれる現代。だが、中国には「サイバー万里の長城」とも呼ばれるインターネット検閲システムがあり、日中の市民がSNSでお互いの考えを直接やりとりするのは難しい。メディアの語源は「媒介者」。長城の内側で取材する日本の新聞記者だからこそできる日中の橋渡しに挑戦したい。

(北京・坂本信博)

 

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