街明かりが戻る日はいつ? 災害ごみ撤去も人影は少なく、人吉市

西日本新聞 熊本版 中村 太郎

 豪雨で球磨川が氾濫し、濁流が熊本県人吉市街地を襲った日から2カ月あまり。国宝・青井阿蘇神社の門前の同市上青井町では、至る所にあった災害ごみの山がほとんど片付いていた。ただ、住民の多くは親戚の家や避難所に身を寄せたまま。街の将来がどうなるのか、不安もある。台風一過の8日、住民から「青井さん」と親しまれる神社周辺を歩いた。

 豪雨直後、倒壊した家屋や流された車が道をふさいでいた神社前の道路。梅雨明けから舞い続けた土ぼこりは無くなっていた。支援物資の提供拠点として1カ月近く境内を開放していた神社も、元の静けさを取り戻していた。

 球磨川沿いの人吉旅館では、球磨工高生が床下の泥出しのボランティアをしていた。国登録有形文化財の木造宿は、1階天井まで浸水。電気科3年の荒木泰盛さん(17)は「泥が重たくてきついけれど、少しでも復興の力になれたら」とスコップを振るった。

 旅館には被災直後から連日ボランティアが訪れ、復旧に汗を流してきた。8月には、インターネットで再建資金を募るクラウドファンディングを実施。約千人から目標額の3倍の約1500万円が寄せられた。おかみの堀尾里美さん(62)は「被災当時は絶望的な気持ちになったけれど、たくさんの支えに勇気をもらえました」と感謝する。

 旅館周辺の住宅街は片付けが一段落していたが、人影は少ない。町内会長の松尾啓一さん(73)は「一帯が水害に遭い、今も住んでいる人は(水害前の)半分いるかどうか」と肩を落とす。水害対策で自宅1階を駐車場にしていたが、濁流は2階まで押し寄せた。修繕が終わるまで、3階だけでの不便な生活が続く。

 松尾さんの気がかりは、住民の避難先が分からないこと。約120世帯の町内会名簿には固定電話番号しかなく、携帯電話の番号を知らない住民には連絡が取れない。「青井さんの目の前が真っ暗なままではさみしい。何とかしてにぎわいを取り戻したい」。地元のみこし団体の代表も務める松尾さんは、街の明かりが戻る日が来ることを願っている。

(中村太郎)

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