笑顔なき“枝野新党”船出 信頼回復、マンネリ打破へ問われるかじ取り

西日本新聞 総合面 川口 安子 森井 徹

 果たして、有権者が安心して1票を託せる最大野党に生まれ変われるのか-。立憲民主、国民民主両党などが合流する新党のかじ取り役は10日、立民代表の枝野幸男氏(56)に決まった。代表選は事実上の「信任投票」。前回2017年衆院選で立民を立ち上げた時のような熱気は消えた。衆院解散説が日に日に強まる中、早急に149人の党内を一つにまとめ上げ、外に向けて確かな政権担当能力を示さねばならない。

 「ノーサイドではなく、いよいよプレーボール。ここから本当の戦いが始まる」

 午後、代表選で国民の泉健太政調会長(46)を退け、新「立憲民主党」の初代トップに選ばれ登壇した枝野氏に笑顔はなかった。有権者の国会議員149人のうち、立民は88人を占める。107票という結果について、立民幹部は「勝ちすぎず負けすぎず、国民側と融和していく上では理想的な票の取り方だった」と胸をなで下ろした。

 立民の結党以来、枝野氏が代表選の洗礼を受けたのは初めてだ。

 立民内には、若手中堅を中心に「一部の幹部だけで政策を決めている」との不満が根強くあった。選挙戦では「野党の次世代エース」と目される泉氏がこの点を突き、「風通しの良い党」を掲げて切り崩しを仕掛けてきたため、枝野氏も1期生との意見交換会を開くなど、若い世代や女性を意識し変化せざるを得なくなった。

 かつて「#枝野立て」の応援が席巻した会員制交流サイト(SNS)上では今回、非公式のネット投票で泉氏に7倍もの差をつけられ、自身と党に向けられる世論の苦さをかみしめながらの勝利に。記者会見で、枝野氏は「新党だからと支持してもらえる生ぬるい状況は、とっくの昔に終わっている」と強調した。

 17年に分裂した旧民進党と同規模の新党が船出するが、ネットには「党名も代表も全く変わらない」「偉大なるマンネリ野党」など厳しい反応が目立つ。内紛を「お家芸」のように繰り返して自滅していった旧民主党、旧民進への失望を、有権者は忘れていない。信用を取り戻すには「代表選を通じて(立民、国民の)それぞれの党の良さを融合できた」(泉氏)現状を強化していくことが不可欠だ。

 早速待ち受ける党内融和のテストが、15日までに固めるとされる幹事長などの党役員人事。党内マイノリティーの国民側、若手中堅、重鎮・ベテランの均衡を取った「適材適所の挙党態勢」を構築できるかが枝野氏の命運を握る。人事で求心力を高め、世論に清新さを訴えられなければ、14日に選出される新総裁が率いる自民党、公明党の与党との対決はおぼつかない。 (川口安子、森井徹)

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