暴力団は“必要悪”ではない 福岡県警元刑事が明かす工藤会のリアル

西日本新聞 北九州版

「社会として暴排考えて」

 警察官として約16年間、特定危険指定暴力団工藤会などの暴力団対策を担当した福岡県暴力追放運動推進センターの藪正孝専務理事(64)が5月に「県警VS暴力団 刑事が見たヤクザの真実」を出版、これまでの発行部数は1万7千部に達した。工藤会が関与した事件の背景などを詳細に描いており、「暴力団の実態を知り、社会として暴排を考えてほしい」と訴える。

 藪さんは北九州市戸畑区出身。1975年に警察官になり、主に工藤会対策を担う北九州地区暴力団犯罪捜査課長や暴力団対策部副部長などを歴任した。

 課長、副部長時代、工藤会はテレビや雑誌で公然と県警を批判するなど「反警察姿勢」を先鋭化させていた。県警が2012年、暴力団員の飲食店への入店を禁じる「標章制度」を導入した直後には、北九州市で店への放火や関係者への切りつけ事件が相次いだ。「やられっぱなしだった。力不足と言われても仕方が無い」。市民の安全を守れなかった悔しさが胸に残る。

 今回筆を執った理由に、暴力団を“必要悪”とする誤解を解きたい気持ちがある。警察官として、工藤会と持ちつ持たれつの関係を続ける飲食店や業者を見てきた。「暴力団を容認する人がいる限り、暴力団は無くならない」。本では事件の捜査過程だけでなく、工藤会組員による悪質な嫌がらせや襲撃の内容、暴力団の脅威におびえる被害関係者の声にも触れている。「きれい事で飾ったヤクザではなく、犯罪組織である暴力団の本当の姿を示したかった」と語る。

 県警が14年9月に工藤会壊滅作戦に着手し、トップで総裁の野村悟被告(73)ら中枢幹部を摘発して以降、工藤会は著しく弱体化した。「情報収集、分析、裏付け捜査、供述…。あらゆる証拠の積み重ねが実を結んだ成果だ」と強調する。

 定年後は暴力団の排除に向けて市民の相談や講演活動にいそしむ。「北九州市はかつて『公害の街』と呼ばれたが、それを克服して今がある。暴力団壊滅も不可能ではない。暴力に恐れる必要が無い街にも、きっとなれるはずだ」。今後も強い意志で暴排活動に取り組み続ける。

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