野党の合流新党 「政権の選択肢」になるか

西日本新聞 オピニオン面

 次の首相選びに直結する自民党総裁選と同時進行になり、影が薄かった面は否めない。国民の期待感が一気に高まったとも言い難い。それでも野党の合流新党が存在感を示し、政治に緊張感を呼び戻す契機となるのなら意義はあると評価したい。

 野党第1党の立憲民主、第2党の国民民主両党などが結成する新党の代表選が行われ、立民の枝野幸男代表が国民の泉健太政調会長との一騎打ちを制し、初代代表に選ばれた。新党名も投票の結果「立憲民主党」に決まった。

 新党参加の国会議員は約150人の規模に及ぶ。少なくとも数の上では「1強多弱」と呼ばれる閉塞(へいそく)的な状況を打開する足掛かりはできたと言えよう。

 にもかかわらず、国民から見て「これで政治が変わる」という高揚感に乏しいのはなぜだろう。本をただせば、旧民主党-民進党から四分五裂した勢力が紆余(うよ)曲折を経て元のさやに収まったにすぎない。そんな既視感を多くの有権者が抱いているからではないか。

 枝野氏は「自助や自己責任を押し付ける新自由主義的社会を転換し、再分配機能を回復させて国民の命と暮らしを守り、支え合う社会をつくる」と打ち出した。この発言が、自民党総裁選で「自助・共助・公助」の基本理念を掲げ、圧倒的優位とされる菅義偉官房長官を意識しているのは指摘するまでもない。

 また枝野氏は「公文書管理と情報公開を徹底させ、信頼され機能する政府を目指す」と力説した。巨大与党に支えられ7年8カ月の長期政権を築く一方、森友・加計(かけ)学園問題や「桜を見る会」を巡る疑惑とともに、公文書の改ざん・隠蔽(いんぺい)・廃棄が問題視されてきた安倍晋三首相の政治姿勢との違いを際立たせる狙いなのだろう。

 「政権の選択肢になる」と宣言する以上、現政権との対立軸を鮮明にするのは当然だ。同時に、新党の立憲民主党と枝野新代表に求めたいのは、旧民主党政権の挫折と教訓を踏まえ、憲法や外交、安全保障など基本政策を共有した上で、現実的な政策論議を積み重ね、実践していくことだ。喫緊の新型コロナ禍への対応は、代表選でも論点となった消費税の減税も含めて具体化を急いでほしい。

 もう一つの注文は地方組織の充実と地方議員の拡大だ。今回の代表選は国会議員だけの投票だった。これは政権を目指す政党として正常な姿ではない。国会議員の「数の力」だけに頼らず、地方の声を聞いて党運営や政策に反映させる「足腰の強い政党」を目指すべきだ。

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