コロナに揺れる高校入試 九州7県で出題範囲巡る対応が割れる

西日本新聞 一面 小林 稔子

「福岡未公表」生徒、学校の負担にも

 新型コロナウイルスの影響による中学校の臨時休校を受けた高校入試の出題範囲を巡る対応が、九州7県の教育委員会で割れている。長崎、熊本両県は今後の休校にも備えて範囲縮小を決定。夏休み短縮などにより学習の遅れは取り戻せたとして、大分県など3県は例年通りの出題とする。入試は半年後に迫る中、福岡、宮崎両県はなお「検討中」。専門家は「生徒と学校に過度な負担がかからないよう、早めの公表が必要」と指摘する。

 「夏休みに安心して学習してもらいたかった」。九州でいち早く、7月中旬に範囲縮小を発表した長崎県教委の担当者はそう話す。

 除外範囲は、国語の漢文や数学の確率など主に教科書の後半部分で全5教科にまたがる。コロナ感染に伴う再休校を想定すると県内市町の約8割が「範囲の縮減が必要」と回答したのが理由で、1カ月程度の追加休校に対応できるという。

 文部科学省は5月、休校の長期化により受験生が不利益を被らないよう配慮を求める通知を全国の都道府県教委に出した。地域の学習状況を踏まえ、範囲の縮小や問題を選択できる出題方式の採用、面接や作文の活用も呼び掛けた。半数以上の教委から出題範囲縮小の報告があったという。

 7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県も、さらなる休校を視野に全5教科に除外範囲を設けた。

 佐賀、大分、鹿児島の3県は例年通り。臨時休校による学習の遅れは「夏休みの短縮などでカバーできた」と大分県。受験生の不安を早めに解消するため、7月下旬に発表した。今後、再度休校になれば出題範囲を再協議するとしている。

 検討中という宮崎県は「学習の進み具合や今後の状況を見極めたい」。福岡県は唯一、公表するかどうかも未定とした。担当者は「範囲を縮小することになって公表した場合、受験生がその範囲を勉強しないかもしれない」と説明する。

 東京大大学院の本田由紀教授(教育社会学)は「臨時休校で学びの欠落が起き、生徒間の学習格差は明らか。地域や学校の対応により差が生じているならば、範囲の縮小が妥当ではないか。基本的な項目のみ問う内容にするなど工夫も可能だ」と指摘。「早めに公表すれば、学校側はゆっくりときめ細かい対応ができる。そもそも範囲縮小は学校現場と生徒の負担を軽減するためであり、公表しないと意味がない」と話している。 (小林稔子)

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