トランプ氏 再選を目指し外交手腕を強調

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

 【ワシントン田中伸幸】11月の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領が外交分野の実績作りに躍起になっている。イスラエルと中東諸国の国交正常化などを相次いで仲介し、2021年のノーベル平和賞候補に推薦されたこともアピール。伸び悩む支持の拡大に向けて外交手腕を誇示する狙いで、さらなる「成果」を駆け込みで用意しているとの見方も広がる。

地域の安定 懐疑的見方も

 トランプ氏は11日、イスラエルとバーレーンが国交正常化に合意したと発表した。「中東は完全に混乱状態にあったが、私が信頼を取り戻した」と述べ、8月に発表したイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化合意に続く中東の仲介外交を自賛した。

 これに先立つ10日は、アフガニスタン政府と反政府武装勢力タリバンによる恒久停戦に向けた協議の開始を自身の外交成果だと強調。今月初めには、対立が続く旧ユーゴスラビアのセルビアとコソボの首脳を招き、経済関係正常化の合意文書の署名にも同席した。

 トランプ氏が外交に力を入れる背景には、新型コロナウイルスや人種問題への対応など内政で“失点”が続く厳しい現状がある。有権者の目を外交に向けさせ、大統領選の世論調査でリードを許すバイデン前副大統領らからの批判をかわしたい思惑が透ける。

 イスラエルとUAEの合意を巡っては、ノルウェーの国会議員がトランプ氏をノーベル平和賞候補として推薦。ホワイトハウスは9日、候補入り段階にもかかわらず、あえて声明を発表した。トランプ氏も10日、激戦州ミシガン州の選挙集会で自らアピールした。

 ただ、一連の外交は欧州諸国などとの連携を欠いており「独善的」といった批判が絶えない。地域の安定に貢献するのか懐疑的な意見もある。

 支持者の間ではノーベル賞受賞への期待が高まっているものの、推薦されたのは来年の受賞候補。今年は地球温暖化対策を訴えるスウェーデンの環境活動家グレタさんや、人種差別への抗議運動に関わるプロフットボールNFLの元選手キャパニック氏らが有力候補とされ、仮にトランプ氏がエントリーされても受賞の可能性は低いとの見方が支配的だ。

 それでも、トランプ氏は「ノーベル賞候補」をアピール材料として、支持拡大を図る狙いとみられる。米国内では、トランプ氏が自らを「平和の仲介者」とさらに印象付けるため、核軍縮問題でロシアと何らかの合意を交わし、大統領選直前に発表するのではないかとの観測が浮上している。

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