あの日、何を報じたか1945/9/16【「建設の足」へ推進力 取り戻す国鉄の誇り 正確と親切】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈送った荷物はどこへ行ったか、分からない。頑丈に作ったはずの包装もいつの間にか破れて中身が消え失せ、遅着遅着で途方に暮れる旅客には列車運行状態アナウンスもない。不潔でうす暗い停車場、これが停戦までの国鉄風景だった〉

 本紙では14日付から、大きな写真を添えた連載「職場へ復員」が始まっていた。郵便局に、理髪店に、新たな活躍の場を見つけた男性たちの再出発の現場を描く連載だ。

 3回目、この日の舞台は国鉄。冒頭の書き出しから記事はこう続く。

 〈ここにも兵士たちは帰ってきた。そして彼らは決戦輸送から戦後復興輸送へ百八十度回頭した再生国鉄の新しい推進力となった。厳正なる規律と厳しい試練の中で身に付けた闘志をひらめかせて戦場に立ち向かう彼らの願いは汚名一掃と逞しい「建設の足」の実現である〉

 ここから記事は突然〈職場日誌〉という体裁になる。写真には、駅で荷物整理をしている復員兵の姿。彼が書いたものだろうか。誰による「日誌」かは、記されていない。

 〈○月○日 きょうは帰還以来最初の日勤日。意外に仕事がはかどる。皆ぼんやりしている。自分たちにもあった失意と絶望の時、だがこれではいけない。(中略)きょう感じたこと。仕事は責任を持って確実に処理すること。清潔と整頓〉

 〈○月○日 かつて鉄道の誇りであった「正確」がなくなっている。これは世界のいずれの国に比しても自慢できるものであったのだ。アメリカ人の時間厳守が、今更のように伝えられる。この失われた誇りを取り戻さねばならない。これからの目標を次の二つに置くこと。正確、親切〉

 75年後の今、この復員兵が駅の風景を目にしたらどんな日誌を書くだろうか。(福間慎一)

   ◇    ◇

 〈〉の部分は当時の記事から引用。できるだけ原文のまま掲載。

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