“アンチ安倍”でなく… 新「立民」迫られる存在意義の確立

西日本新聞 総合面 川口 安子 鶴 加寿子

「消費税減税」に期待も

 立憲民主、国民民主両党などが一つになった衆参計150人の野党第1党、新「立憲民主党」が15日、枝野幸男代表の下で始動した。16日発足する菅義偉自民党総裁の新政権に対峙(たいじ)し、説得力ある対立軸を有権者に示し、政権批判票の「受け皿」となれるか。衆院解散・総選挙が近いとされる中、党内には「消費税減税を旗印に」との声も高まりつつある。

 旧立民は森友、加計(かけ)学園や桜を見る会の問題で安倍晋三首相を厳しく追及し、有権者にアピールしてきた。だが、首相が対決の舞台から急きょ降りることになり、旧国民と合流した新立民は「アンチ安倍」ではない新たな存在意義を早急に確立する必要に迫られている。

 結党大会で枝野氏は、菅氏が掲げる「自助・共助・公助」への対立軸を強く意識し、「過度な自己責任社会から、支え合いの社会へと転換しよう」と演説。具体例として、新型コロナウイルス経済対策の筆頭に「時限付きの消費税減税」を挙げた。

 消費税減税は新立民に参加したメンバー間で慎重論が根強い。旧民主党政権が2012年、社会保障の充実のために消費税を増税する3党合意を自民、公明両党と結んだことが背景にある。

 枝野氏も次期総選挙の争点化には慎重な姿勢を保ってきた。だが、自民総裁選で菅氏が将来の消費税率引き上げの必要性に言及し、直後に「10年間は増税しない」と修正して物議を醸すとギアを転換。15日の記者会見では「(争点にするかどうかは)政治状況、有権者の判断だ」と選択肢を広げる発言に踏み込んだ。

 消費税減税は、れいわ新選組、共産党も主張しており、野党共闘の「もやい」となり得る。新立民の中堅は「もし政権与党との対立軸になれば総選挙を闘いやすい」としつつ、党内で合意形成が順調に進むのかを見守っていくと話す。

     ■ 

 この日、結党大会の壇上には枝野氏とともに、旧立民の福山哲郎幹事長、旧国民の泉健太政調会長ら両党の均衡を重視した新役員メンバーが並んだ。

 新立民の党内融和の行方を占う枝野人事だったが、旧国民からの合流組の一人は「満額回答だ」と歓迎。旧立民若手からは「若手や女性をもっと大胆に登用してほしかった」と不満の声も出たものの、党関係者は「(合流は)別れた夫婦がよりを戻すようなもので、新鮮さを打ち出すにも限界がある。すぐに選挙準備を整えられる実利を取った布陣だ」と評価した。

 遠くない総選挙に向け、次に急がれるのは小選挙区における野党候補者の一本化だ。

 新国民は母体の旧国民が昨年の一時期、首相と玉木雄一郎代表との間で、大連立構想に同意しかけたとされている。また、日本維新の会憲法改正を訴えるスタンスで自民と歩調をそろえており、松井一郎代表と菅氏は年末に定期的に会食するなど非常に親密な間柄。「第3極」的な両党に関しては菅政権が今後、選挙協力の触手を伸ばしてきても不思議はない。

 新立民の九州関係者は党内の一部にある楽観論を戒める。「新党とはいえ風は期待できない。現有議席の死守を目指し、一つ一つの選挙区で票を積み上げるしかない」 (川口安子、鶴加寿子)

PR

政治 アクセスランキング

PR

注目のテーマ