「論功行賞」安定重視 強まる二階氏の影響力 自民党新役員人事

西日本新聞 総合面 郷 達也

 自民党役員人事で菅義偉総裁は二階俊博幹事長の続投を決めた。総裁選で後押しを受けた党内5派閥に要職を割り振った布陣は「論功行賞」が鮮明で、党内基盤を安定させたい思惑がにじむ。コロナ禍の重要局面で官邸主導の政策決定にほころびが出る中、党運営の実権を握る二階氏の影響力が強まるのは確実で、「政高党低」と言われた構図に変化が起きそうだ。

 「円満な党運営に心を砕いてまいりたい。党内の小競り合いは絶対に生じてはならないし、見過ごさない」

 15日、党本部で記者会見した二階氏はこう強調し、党運営に自信をにじませた。派閥均衡人事ではないかと問われると「論功行賞などつゆほども思っていない。自民党に対する偏見だ」。自身の起用を皮肉るような見方に不快感を示した。

 安倍政権下、老練な政治術で「アンチ安倍」勢力を抑え込む「重し」として党内を掌握してきた二階氏。党総裁任期を3期9年に延長する党則改正も主導し、「安倍1強」を支えてきた。毎年秋の内閣改造では「幹事長を外すとどう動くか分からない」と警戒され、安倍首相も触れない重鎮になった。

 一方、政策面ではこの間に、党が政府の方針に従う「政高党低」が定着する。「本来、政府と与党は車の両輪だが、党の政務調査会が軽視され、首相官邸の意向がまかり通っていた」(中堅議員)。党内には政策に関与できない不満がくすぶる。

 注目されるのは菅政権下での二階氏の出方だ。新型コロナウイルスの緊急経済対策の現金給付では、二階氏が火付け役となって政府が方針を急転換した。首相退陣は政府と党の力関係に変化が出始めた時期と重なるだけに、二階氏が政権運営でも主導権を握ろうとすれば、菅氏との関係が微妙になりかねない。

 菅氏は党内の異論を封じ込める二階氏の手腕に期待し、二階氏も「新総裁を支える」と菅氏への忠誠を誓う。ただ、これまで野党出身議員を相次いで自派閥に受け入れた経緯もあり、選挙区で他の派閥と競合するケースも。「なりふり構わぬのが二階派だ」(ベテラン議員)と「お手盛り」の党運営に冷ややかな視線も集まる。

 強権は敵もつくる。中堅議員は声を潜める。「二階氏の影響力が強まることは間違いないが、人事の顔ぶれにも水面下の派閥間の主導権争いがにじみ出ている。『幹事長1強』で党内が黙っているかというと、そうはいかない」 (郷達也)

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