「避難者3万人分を3日間」 福岡市の防災備蓄、警固断層地震を念頭に

西日本新聞 長谷川 彰

 九州各地にさまざまな被害をもたらした台風10号。福岡市でも接近に備えて6日午後、約250カ所の避難所が開設され、最大4500人近くを受け入れた。結果的には7日にすべての避難所が役目を終えたが、大規模災害となれば避難の長期化は必至だ。市は過去の災害を教訓に、広域支援の拠点機能も持つ大型の防災備蓄倉庫を設けている。狙いや役割を取材した。

 倉庫は、福岡空港の滑走路敷地の南端部から道路を挟んだ一角、博多区月隈に置かれている。

 2016年に起きた熊本地震で被災地を支援した経験を踏まえ、地域防災計画を見直す中で強化されたのが備蓄対策だった。以前からあった市埋蔵文化財センター月隈収蔵庫の一部(約945平方メートル)を改修し、17年秋から物資の公的備蓄を始めた。

 市地域防災課によると、避難者が最も多いと考えられる災害は、都市直下型の地震だ。市中心部を南北に走る警固断層の活動でマグニチュード(M)7・2規模の地震が起きた場合、避難者数は約3万人と推定される。食料や飲料水は、とりあえず発災から3日分は必要とし、計約27万食を公的備蓄で賄う。大雨や台風など風水害の場合は、この枠組みの中で対処できると判断している。

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 食料はレトルトパックの米やおかゆ、パンなど。大半をこの倉庫で保管し、一部は避難所となる公民館などに分散。当面をこれらでしのぎ、以後は、国や他の自治体からの提供物資、企業や団体と結んだ災害時応援協定に基づく調達物資で対応する計画だ。

 このため、倉庫は提供物資を受け入れる1次集積所の役割も果たす。倉庫側面には7メートル幅の深いひさしが設けられ、トラックを横付けできる構造。受け入れと同時に、避難所に向けた物資の2次集積所となる区役所への発送拠点ともなる。

 台風10号接近に際しては、区役所が手持ちの備蓄量に万全を期すため、事前に倉庫から補給しておく動きもあったという。

 地域防災課の森山浩一課長は「倉庫の物資(公的備蓄)は、あくまで避難所を頼らざるを得ない人を対象にした必要最低限の備え」と話す。

 地域防災計画ではこれら公的備蓄とは別に、市民や企業などに対し食料や飲料水、携帯トイレ、トイレットペーパーなどの生活必需品を「最低3日分」準備しておくよう求めてもいる。

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 台風10号の接近で、食料品や水などを急いでまとめ買いした人も多いと思う。九州大の杉本めぐみ准教授(災害リスクマネジメント)は、近年の災害甚大化を踏まえ「1週間分の備えが望ましい」と指摘している。

 これを機に、1週間分が手元に残るよう、消費期限が早いものから順番に日常生活で使い、その分を買い足すローリングストック法を、実行してみてほしい。杉本准教授は「災害時に店の陳列棚が一気に空になり、途方に暮れる人が続出する光景を、私たちの社会からなくしていきたい」と話している。 (特別編集委員・長谷川彰)

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