「過去最悪だ」ウンカ大発生で稲作大打撃 肩を落とす生産者

西日本新聞 北九州版 石黒 雅史

 水稲の害虫トビイロウンカが福岡県の北九州・京築地区などで大発生し、稲作が大打撃を受けている。県は8月7日に警報を出して早めの刈り取りや農薬による防除を呼び掛けたが、関係者の予想以上に早く被害が拡大したようだ。被害多発地の一つとされる行橋市内では、稲が枯れて倒れた田んぼがあちこちで見られ、生産者らは「過去最悪だ」と肩を落としている。

 行橋市延永の富田和重さん(69)は16日、枯れて倒れた稲をコンバインで刈り取っていた。枯れた稲から取れるのは、動物の餌やあられ菓子などに使う未成熟の「くず米」。値段は正規品の20分の1程度に落ちるというが「このままでは見た目も悪いし、刈るしかない」とあきらめ顔。作付けした約6・5ヘクタールのうち1割超はウンカ被害で倒れ、急いで刈った稲も未成熟が多い。「収穫は例年の半分以下になるかも」と語った。

 体長約5ミリのトビイロウンカは梅雨前線の気流に乗って中国などから飛来。稲の茎から水分や栄養分を吸い取り、水田が局所的に枯れる「坪枯れ」を起こす。県病害虫防除所(筑紫野市)が8月19~25日に県内46カ所の水田で調査したデータでは、10株当たりの成幼虫数は平均194・8匹。過去10年間で多発した2013年の45・1匹、17年の10・8匹、19年の59・5匹をはるかに超えた。被害も甚大で、局所的な「坪枯れ」どころではなく、全面が枯れている水田が目立つ。

 築上町上り松では705匹もの大量確認、八幡西区楠橋では18匹。行橋市には調査地点がないため明確ではないが、県行橋農林事務所京築普及指導センターは京築管内の2、3割、多い場所では5割以上の水田に大小の被害が出ているとみている。

 病害虫防除所によると、今年は梅雨前線が長く居座り、中国でのウンカ発生も多かったことから早く大量に日本へ飛来。例年なら9月中旬以降に出る被害が1カ月ほど早まり、稲刈り前の水稲を直撃したという。

 県農業共済組合(福岡市)の各支所には減収を補う共済金の申請や問い合わせが相次いでいるという。担当者によると、ウンカ被害が大きかった13年の共済金支払額は約3億3千万円。今年の金額は今後の展開次第だが「かなりの損害が出ることは間違いないだろう」と話す。

 病害虫防除所の松本幸子所長は「虫はまだ残っており、新たな場所に移っていく可能性がある。まだまだ注意が必要。できる限り早く刈り取るのが最良の予防」と注意喚起している。

(石黒雅史)

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