高齢者施設の防火検査ピンチ 消防局、コロナ禍で立ち入れず

西日本新聞 社会面 岩佐 遼介

ファクスや電話で対応探る

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、高齢者施設への消防局の立ち入り検査が例年通りにできなくなっている。九州では過去に、高齢者施設で複数の利用者が犠牲になる火災が発生。消防局は、施設に立ち入らなくても的確な指導ができる方法を模索している。

 多くの消防局は年に1回以上、高齢者施設に立ち入り検査する。事前に建物の管理者と日程を調整し、防火設備や避難経路などを点検するのが一般的だ。

 長崎県佐世保市消防局は4月以降、高齢者施設への立ち入り検査を見合わせている。「コロナ感染予防で家族の面会さえ制限されている施設に、私たちが行くべきではないと考えた」と予防課の村上寛寿課長。長崎県では、高齢者施設に立ち入り検査を断られた消防局もあるという。

 佐世保市消防局は6月、高齢者施設に前年の立ち入り検査で指摘した項目をファクスで伝え、改善状況の返信を求める取り組みを始めた。同じく立ち入り検査を取りやめた大分市消防局は、電話で聞き取りや指導を行っている。

 福岡市消防局は、立ち入り検査を居室や診察室などを除いた場所に限定。確認できなかった場所や点検項目の現状の報告を施設に求める方向で検討している。

 九州では、2006年に長崎県大村市で発生したグループホーム火災で高齢の入所者7人が死亡。施設が避難訓練を怠っていたことが明らかになった。13年には、防火扉が設置されていなかった長崎市のグループホームの火災で5人が犠牲になった。

 両市の火災はいずれも、スプリンクラー設置義務のある施設の対象を拡大する2度の消防法施行令の改正につながった。

 体の衰えや障害で迅速に避難できない高齢者は火災の犠牲になりやすいため、コロナ禍でも防火点検はおろそかにできない。佐世保市消防局の村上課長は「火災のリスクはコロナの有無にかかわらず存在する。こういう時期だからこそ、施設は火災対策を徹底してほしい」と話す。

(岩佐遼介)

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