秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる…

西日本新聞 オピニオン面

 秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(藤原敏行)。日中の暑さはまだ残るけれど、朝夕の風の涼しさに秋の気配を感じるようになった

▼季節の変わり目に政権も衣替え。菅来ぬと目にはさやかに見えねども安倍の色にぞおどろかれぬる-。菅義偉内閣が発足した。閣僚の顔触れは安倍晋三政権からの横滑りや再任が目立つ。アベノミクスなども引き継ぐという

▼人事や政策の新味は、さやかに(はっきりと)見えないけれど、安倍政権継承の色の濃さにはおどろかれぬる(はっと気付いた)。官房長官として安倍政権を長年支えてきた菅氏だから、ある意味、当然か。「安倍的な政治」の継続を望む派閥の神輿(みこし)に乗ったという事情もあろう

▼だが、国民としては新しい風も期待したい。あえて「菅カラー」を指折れば、縦割り行政の打破とデジタル庁の新設か。前政権で果たせなかった「女性活躍」も目玉政策に掲げたのはいいが、20人の閣僚のうち女性は2人だけという現実に失望感が漂う

▼もとより、菅内閣の最大の使命はコロナ対策である。感染拡大の防止と経済の回復。どう両立させるかを国民は注目している。それこそが菅氏の言う「国民のために働く内閣」の証左となる

▼永田町界隈(かいわい)には、さやかに見えねども、衆院早期解散の風がそよそよと。政局にかまけて「仕事師」の真価が発揮できねば、国民との間に秋風が立とう。

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