あの日、何を報じたか1945/9/21【部分的に削除して継続使用 国民学校の教科書大改訂】西日本新聞の紙面から

西日本新聞 福間 慎一

 〈中等学校、青年学校、国民学校の教科書は戦争一本に編纂されているものが多く、文部省では終戦に伴い、先にこれら教科書の全科目にわたり全面的改訂の方針を決定したが、二十日、次官通牒を地方長官に発し、差し当たり現在の教科用図書は継続使用して差し支えないが、全部あるいは部分的に削除し、また取り扱いに慎重を期するの三段構えで、教師をして万全の注意を払わしめることになった〉

 いわゆる「墨塗り教科書」の誕生を伝える記事は、2面の真ん中当たりに、あまり大きくない見出しとともに伝えられた。文部省の「次官通牒」とは「終戦ニ伴フ教科用図書取扱方ニ関スル件」。記事では、教科書から省略や削除、または取扱注意を要するものについて列挙している。

 〈イ、国防軍備を強調せるもの〉

 〈ロ、戦意高揚を図ったもの〉

 〈ハ、国際の和親をさまたぐるおそれあるもの〉

 〈ニ、終戦に伴う現実の事態と著しく離し、また今後における児童生徒の生活体験と甚だしく遠ざかり、教科としての価値を喪失せるもの〉

 〈ホ、その他、承詔必謹の点に鑑み適当でないもの〉

 記事にあるように、戦時中の教育は「戦争一本」に編集されていた。記事は〈教材が少なくなるので、文部省では補充教材完成までの臨時措置として国体護持、道義確立に関するもの、文化国家の国民たるにふさわしき教養、躾などに関するもの、農産増強に関するもの、科学的精神啓培とその生活面に具現するようなもの、体育衛生に関するもの、国際平和に関するものなど地方の状況や時局の現実などを考えて、教師自ら適宜採取補充することとした〉とある。現場に任せる、ということだった。

 記事は、国民学校の後期用国語教科書を例に、削除、取扱注意とするものを具体的に示している(無印は削除、○印は取扱注意を要するもの)。

 それぞれの題目から、戦時教育の戦争一本ぶりがあらためてうかがえる。

 【ヨミカタ 二】ラジオコトバ、兵タイゴッコ、シャシン

 【よみかた四】海軍のにいさん、○満州の冬、にいさんの入学、金鵄(きんし)勲章、病院の兵たくさん、○支那の子も

 【初等科国語二】神の剣、潜水艦 南洋、軍旗、いもん袋、三勇士

 【初等科国語四】船は帆船よ、バナナ、大連から、観艦式、大演習、小さな伝令使、広瀬中佐、大砲のできるまで、防空監視哨

 【初等科国語六】水兵の母、姿なき入城、朝鮮のいなか、十二月八日、不沈艦の最後、敵前上陸、○病院船

 【初等科国語八】ダバオ、マライを進む、シンガポール陥落の夜、もののふの清、太平洋

 【高等科国語二】単独飛行、豹を撃つ、輸送船、ハワイ海賊

(福間慎一)

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 〈〉の部分は当時の記事から引用。できるだけ原文のまま掲載。

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