全旅館再起へ奮闘続く 熊本・杖立温泉、4連休も3分の1休業

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

「来春は笑顔で迎えたい」

 7月の豪雨で浸水などの被害を受けた熊本県小国町の杖立温泉では、19~22日の4連休も旅館18軒のうち3分の1が営業を再開できない見通しだ。旅館の改修にも新型コロナウイルス対策が求められる中、建築業者の人手不足もあり、復旧作業が遅れているという。全旅館の再起に向けた道のりは険しく、奮闘が続いている。

 杖立川を挟んで広がる旅館街は、左岸側の被害が深刻。住人は避難して無事だったが、7月6、7両日の2度にわたって浸水。泥やがれきはボランティアらの協力も得て1カ月ほどで除去できたが、左岸ではまだ玄関が閉まっていたり、ブルーシートに覆われていたりする旅館もあり、工事業者の姿が目立つ。

 左岸にある老舗旅館「葉隠館」は4階建ての1階部分が浸水。経営者で杖立温泉観光協会長も務める権藤芳春さん(69)によると、今月初めに1階の改修工事はほぼ終わり、新たな看板も掲げられたが、細かい塗装工事がまだ残っているという。

 同旅館は作家の火野葦平が宿泊し、小説「幻燈部屋」を執筆したことでも知られる。被災後、常連客の佐賀県のノリ養殖業者が米を抱えて駆けつけてくれた。蓄えを切り崩し、補助金の申請に追われながらも、多くの励ましがあり、前を向いているという。

 権藤さんは近くホームページで、10月からの営業再開に向けて情報発信する考え。毎年4~5月に開いていた「杖立鯉のぼり祭り」が、今年は新型コロナの影響で中止されたこともあり、「来春までには全ての旅館が再開できて、こいのぼりが群泳する名物の祭りを笑顔で迎えたい」と話している。 

(佐藤倫之)

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