コロナ禍の大学生、悩み深刻 九大4割が孤独感、APU6割「困っている」

西日本新聞 一面社会面 斉藤 幸奈 竹中 謙輔

識者「対面授業増やせる」

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大学ではオンラインによる遠隔授業が中心となり、学生がキャンパスに足を運ぶ機会が激減している。友人関係や学業、経済面と多くの学生がさまざまな悩みを抱えていることが、各大学の調査で浮き彫りになった。後期は対面授業の機会を増やす動きもあるが、遠隔授業も当面続く見込みだ。専門家は工夫次第でもっと対面の機会を増やせると指摘する。

 九州大(福岡市)が6月に行った調査では「孤独感や孤立感を感じるか」との問いに、40%の学生が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した。「この1カ月、友人と直接話をしていますか」との設問には「あまりしない」「全くしない」が計36%。体の調子に関しては「よく眠れない」が2割超、約1割が「いらいらする」と答えた。

 同大キャンパスライフ・健康支援センターの丸山徹センター長は「1年生は入学式もできずに遠隔授業が続き、大学生になった実感が持てないだろう」と懸念する。ウェブ上で医師や保健師が相談に応じる窓口を開設、上級生が助言するオンライン交流会も開いた。

 学生の半数近くが留学生の立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)は、7月に調査を実施。日常生活に「困っている」「少し困っている」とした学生が6割に上った。困り事の中身は「友人に会えない」「生活リズムが崩れている」などを挙げた学生が多かった。「アルバイト先がない」「食料を確保できない」という経済的な困窮がうかがえる回答もあり、大学はパスタや米、野菜などを無料配布し支援している。

   ◇   ◇

 小中高校が基本的に対面授業をする中、多くの大学は後期も遠隔授業を続ける見込みだ。全国の大学や高等専門学校1060校を対象にした文部科学省の調査では、後期は約8割が遠隔と対面を併用する。その割合について「(対面授業は)おおむね半分以下」としたのが約7割だった。九州産業大(福岡市)の8月の調査では、遠隔授業について「対面授業と同程度の効果がある」とした学生は2割ほどにとどまった。

 「感染拡大防止の点から、大学での遠隔授業の継続は一定の意義がある」とするのは大阪大の朝野和典教授(感染制御学)。7月以降の流行は当初、若者の感染が中心だった。大学生は行動範囲が広く学生の中で感染が広がれば、社会全体の感染拡大に拍車を掛ける危険性もあるという。

 「自粛警察」という言葉が生まれ、感染者を責めるような社会の空気もある。九産大の調査では「人に感染させてしまうかもしれないと不安を感じるか」との問いに「感じる」「やや感じる」が7割超に達し、感染源になることを恐れる学生が多いことが浮かんだ。

 遠隔授業が長期化すれば、学生の心身に与える影響はさらに深刻になりそうだ。九州大の八尾坂修名誉教授(教育経営学)は「遠隔授業では学びにも限界がある。机の配置の工夫や少人数で行うなどの取り組み次第で、対面授業を増やすことができる。学生は多方面で不安を抱えており、早急な支援が必要だ」と話した。

(斉藤幸奈)

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