コロナ禍の大学生、悩み深刻 九大4割が孤独感、APU6割「困っている」 (2ページ目)

西日本新聞 一面社会面 斉藤 幸奈 竹中 謙輔

夢見た大学…独りぼっち

 新型コロナウイルスの流行によって、多くの大学1年生は入学前に思い描いたキャンパスライフとはほど遠い生活を強いられ、もどかしい日常を送る。体調を崩した学生もいる。友人関係を築けない悩みに加え、オンラインによる遠隔授業の苦労や金銭面での負担など心配事が絶えない。

 「食欲がなくなり、やる気が湧かなくなった」。福岡市出身で関西学院大1年の女子学生(19)は声を落とす。4月、兵庫県宝塚市のアパートで新生活を始めたものの、大学に行ったのは4回だけ。自宅で過ごす日々が続き、5月に重度の胃炎と診断された。原因は、ストレスだった。

 ゴールデンウイーク期間中、心配した父親に実家へ連れ戻された。20日間ほど“充電”し、宝塚市に戻ったものの気分は晴れない。「サークルとバイトとの日々を描いていたのに…」

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 早稲田大商学部の女子学生(18)=福岡市南区=は、4月に契約した東京都杉並区のアパートに一日も住めず、実家で遠隔授業を受けている。家賃は払い続けていたが、9月中旬に解約した。

 遠隔授業は「苦痛」。実家の通信環境が悪く、授業中にパソコンが何度もフリーズ。テスト中にも映像が止まり、勉強の成果を発揮できなかった。難解な統計の授業では質問したかったのに、できる環境になかったという。

 「対面より質が下がっている授業が大半。学内の設備も利用できないのに学費が変わらないのは納得できず、一部でも返してほしい」などと不満が募る。受験勉強を頑張って現役で入学したのに、心中は複雑だ。「来年入学した方が楽しい1年を過ごせたのかな」

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 8月中旬、九州大伊都キャンパス(福岡市西区)の学食で、1年生の3人がランチをしていた。7月17日に1日だけ対面授業があり、仲良くなった。この日は午前中に自宅でそれぞれオンラインによるテストを受け、1カ月ぶりに再会した。初めて体験した学食。おしゃべりにも花が咲いた。

 3人はしみじみ語る。「1週間誰にも会わないのはざら」「久しぶりの会話が、スーパーの店員さんという時期もあった。さみしかった」

 同大工学部1年の男子学生(19)は、8月中旬まで水泳部の練習に1回しか参加できなかった。新型コロナの影響で活動が休止となったためだ。「大学生活を楽しみにしていたのに。一人の時間が多くつらいときがある」

 学生の中には高校の卒業式も大学の入学式も、オンラインや簡易版で終わった人もいる。夢のキャンパスライフを、心から楽しめる日はいつ来るのか。

(竹中謙輔)

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