韓国から帰省、九州遠く 駐在員ら「以前は気軽に戻れたのに…」

西日本新聞 社会面 池田 郷

 【ソウル池田郷】新型コロナウイルスの感染が続く中、韓国に住む日本人の間で一時帰国を巡って地域格差が生じている。日本政府が水際対策として旅客便の到着地を成田と関西の2空港に限定した上、帰国者に公共交通機関を利用しないよう要請しているためだ。関東・関西近郊以外へ戻るのは事実上困難で、特に韓国と地理的に近い九州出身者はコロナ禍以前、格安航空会社(LCC)を利用して気軽に帰国できていただけに不満の声が漏れる。

 本社が東京の企業に勤めるソウル駐在の40代男性は今月、1週間の休暇を取って東京の自宅に帰省。日本では強制的な隔離ではなく、自宅での「自主待機」が認められるため、帰国後1週間は外出を控えながら自宅で妻子と過ごした。休暇後に戻った韓国では2週間の隔離が義務付けられ、現在は在宅勤務している。

 ところが、関東・関西以外の駐在員はそうはいかない。政府が帰国後2週間は公共交通機関を使わないよう「強く要請」しているためだ。空港到着後の移動手段はレンタカーに限られ、九州出身者の場合、車で自宅まで帰らなくてはならない。10月にソウル-福岡の往復便が再開予定だが、往路は貨物便で旅客便は復路のみだ。

 コロナ禍前まで九州出身者は、他地域に比べて恵まれた環境だった。LCCなら1万円以下で往復可能。一時帰国のついでに韓国の3分の1ほどの値段で買える日本の調味料や即席麺、焼酎などを購入する人が多く、定期的に帰国し、かかりつけ医に持病の診察や薬の処方を受ける人もいた。韓国の旅行業関係者によると、九州以外の駐在員や家族の間でも、買い出しや息抜きの旅行先として九州が定番化していたという。

 九州には韓国に拠点を置く企業が多い。福岡県人会の会員数は在韓道府県人会では最大規模の170人に上る。同会の豊福辰也副会長(ソラリア西鉄ホテルソウル明洞・釜山社長)は「2月まで1~2カ月に1度は家族が住む福岡市に帰省していた。高齢の母が“もしも”のときにどうしようかなど余計なことを考えてしまう」と心配する。

 レンタカーでの強行軍を覚悟して帰国する人もいるが、そもそも本州と車道でつながっていない北海道や沖縄県の人たちには不可能だ。3月から単身赴任する北海道の男性(45)は「地方活性化を掲げる菅義偉首相は、中央と地方のこうした格差解消にも目配りしてほしい」と要望する。

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