10万人が選んだ「運命」のガンダムソング、森口博子が続編リリース

西日本新聞 塩田 芳久

 森口博子さん=福岡市出身=は歌手です。バラドル(バラエティーアイドル)やタレントと呼ばれることもあるけれど、歌手です。最新アルバム「GUNDAM SONG COVERS 2」は、そんな当たり前のことを再確認させてくれる1枚です。圧倒的な歌唱力を披露する森口さんに音楽への愛、歌い続ける原動力を聞きました。

 -昨年、機動戦士ガンダムの楽曲をカバー&セルフカバーした「GUNDAM SONG COVERS」は10万枚を超すヒットとなりました。最新アルバムは、その続編ですね。

 ★森口 ガンダムのテレビ放映40年を記念してNHKが昨年、「発表!全ガンダム大投票」を行いました。ファン投票でガンダムソングをランクキングしたのですが、私のデビュー曲「水の星へ愛をこめて」が1位となり、「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」も3位にランクインしました。それを受けて前作が生まれたのです。その後「続編を」という声が高まって、「2」を出すことになりました。

 -大ヒットの後だけに「2」はプレッシャーがあったのでは?

 ★森口 今回は私に歌ってほしい曲は何か、ファン投票で決めました。10万を超える投票がありました。長年制作されてきたガンダムソング全361曲は素晴らしいものばかり。その中からファンに求められたものをカバーするのですから、とても大きなバトンをいただいたようです。

 -しかし新型コロナウイルスの影響でリリースが3カ月延期に。

 ★森口 3曲をレコーディングしたところで緊急事態宣言が出て制作が中断したんですよ。当然、不安になるじゃないですか。アルバムだけじゃなく、これからの生活はどうなるの、とか。そんなときファンの方々がSNSで前向きなコメントを寄せてくれたんです。「お楽しみが先延ばしになり、さらに楽しみになりました」「時間ができたのでじっくりつくってくださいね」と。そんな期待が私のモチベーションになり、いい意味でのプレッシャーになりました。

 -今年がデビュー35周年。テレビタレントの印象が強い時期はありましたが、「歌手」であることは一貫しています。

 ★森口 4歳のとき歌手になると決めて、オーディションを受け続け、チャンスをつかんで17歳のときデビューしました。デビュー曲はスマッシュヒットしたんですが、高校卒業直前に“リストラ宣告”を受けて福岡に帰されかけたんです。そのとき「仕事は何でもします」と頂いたのがバラエティーの仕事。どんな仕事も全力で続ければ歌につながる。歌手だけはあきらめたくない。この35年、いろんな人に支えていただいたから歌い続けることができました。

 -最近、とみに歌がうまくなったと言われませんか?

 ★森口 ありがとうございます。ミュージカルへの出演で声量が増えたのかもしれません。それに詩の解釈や、表現力も10代のころより進化しているような気がします。50代となり、それなりの人生経験を積み上げた結果でしょうか。「2」に収録したセルフカバー「君を見つめて」はツインボーカルになっていて、最初に出した1991年の私の歌声に今の私の歌声を重ねました。過去の私との共演。長く歌い続けてきたねと、最初聴いたときは涙が出ました。

 -20代の森口さんは、今の森口さんを見てどう思うでしょうか?

 ★森口 「いろいろ乗り越えてきたねぇ」と思うかも(笑)。いっぱい傷ついて、いっぱい愛されて-20代のときの私には想像できないでしょうけど。振り返ると、ガンダムソングは夢をかなえてくれた運命の作品でした。デビュー曲、紅白歌合戦に初出場したときの「ETERNAL-」、厄年を迎えたときに仕事も人間関係も恋愛も全部大変で四面楚歌になったんですが、ガンダムのゲームの主題歌をいただいて立ち直れたこともありました。だから勝手に心に誓ったんです。「オファーがなくてもガンダムを歌い続けよう」と。

 -コロナ禍で全国ツアーが中止になるなど、福岡のファンも残念に思っています。

 ★森口 私も楽しみにしていたので残念です。アルバムを通じてみなさんとつながれたらなぁ、と願っています。

 (文・塩田芳久)

 ▼もりぐち・ひろこ 1968年6月13日、福岡市生まれ。85年、アニメ「機動戦士Zガンダム」の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビュー。「GUNDAM SONG COVERS 2」はギタリストの押尾コータローさん、バイオリニストの寺井尚子さんら豪華メンバーと共演した。

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