逆境吹奏楽部世界と心一つ ルワンダに生配信 画面越し笑顔見えた

西日本新聞 社会面 丸田 みずほ

コロナ禍、自ら企画練る 飯塚高

 新型コロナウイルスの影響で、例年通りの部活動になかなか取り組めない高校生たち。そんな中、福岡県飯塚市の飯塚高吹奏楽部は、他の部活と合同でビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使った演奏会を開き、東アフリカのルワンダに生配信した。会場に聴衆の姿はなくとも、スクリーンには笑顔で踊るアフリカの人々。部員たちのアイデアで、国境を超えた共演が実現した。「今できることを考えよう」。部員は思いを一つにしている。

 8月28日夕、会場となった同市の芝居小屋「嘉穂劇場」に「ウィー・アー・ザ・ワールド」のメロディーが響いた。飢餓や貧困に苦しむアフリカの人を救おうと1985年に発表され、世界中でヒットしたチャリティー曲だ。音色に乗り、ルワンダの子どもや大人が肩を組み合い歌う姿がスクリーンに映し出されると、お互いに笑みがはじけた。

 「大人の用意したものだけに頼らないで、何もないなら自分たちでつくりだそう」。6月下旬、夏のコンクールなどが中止となり、目標を失い、戸惑っていた部員に語り掛けたのは顧問の畑中洋介さん(43)だった。「コンクールの結果が全てではない。部活は主体的に動く力を身に付ける場でもある」と思いを語る。

 畑中さんの言葉をきっかけに、部員は自主的に動きだした。部内でアンケートを取り、実現できる企画を検討。それぞれが担当する楽器の扱い方、演奏法を初心者向けに解説する動画「はじめての○○(楽器名)」シリーズを10本つくり、無観客ライブも行い、それらをネット配信した。

 今回は、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてアフリカで活動し、今は飯塚市で国際交流活動を行う庄田清人さん(32)に相談。庄田さんが訪ねたことがあるルワンダに交流先を決め、企画を練った。ルワンダではダンスが根付いていると知り、ダンス部にも出演を依頼した。

 この日は、ほかに日本の手遊び歌など約10曲を披露。ルワンダの人々は一緒に踊りを楽しみ、スクリーン越しに一体感が生まれ、「生演奏は人生で見たことがなく、感動した」「いつルワンダで演奏してくれる?」とたくさんの感激の声が届いた。「喜んでくれているのが分かってうれしかった。コロナで大変だけれど、音楽を通して人と通じ合うことができて楽しかった」。サックス担当で3年の中山莉衣奈さん(17)は充実した表情を浮かべた。

 「音楽は誰とでもコラボできる。他の学校にも一歩踏み出す勇気が与えられたらいいなと思う」と畑中さん。コロナ禍で人と人との触れ合いが制限される中、音楽で人とつながる喜びをかみしめている部員たち。22日には飯塚市内の中学校の吹奏楽部と合同で、両校の保護者向けに野外コンサートを開く。 (丸田みずほ)

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