【動画あり】大邱名物ヤキウドンルーツは? 北九州とのつながり探る

西日本新聞 金田 達依

見た目は別物 中国山東省も関係か

 「韓国にヤキウドンという料理があるらしいけど本当? 日本と関係はあるの?」。そんな疑問が「あなたの特派員」取材班に寄せられた。韓国人の知り合いに聞くと、釜山の約90キロ北西にある大邱市にそう呼ばれる名物があるらしい。「焼きうどん」と言えば北九州市の庶民の味。つながりを探ろうと現地を訪ねた。

 「ヤキウドン? 大邱市民なら知らない人はいないですね」。大邱市観光ビューローの担当者が教えてくれた。フグのプルコギなど「大邱十味」と呼ばれる10種類の地元グルメの一つで、市内のほとんどの中華料理店が提供しているという。ただ、日本から伝わったかどうかは「分からない」と首を振った。

 ヤキウドン発祥の店とされる中華料理店「中和飯店」は市中心部にあった。店内のあちこちにハングルで「ヤキウドン」(1万ウォン=約900円)と記されている。早速注文すると、ソース味の北九州名物とは似ても似つかない真っ赤な麺料理が出てきた。

 エビやタマネギなど具だくさんの一皿はうどん麺ではなく、ちゃんぽんのような中太麺。一口すすると見た目ほど辛くなく、海鮮のうまみが後を引く。同店社長の臧汝林(チャンヨリム)さん(55)によると、辛さの異なる複数の唐辛子粉を加えて味に深みを出すという。

 ヤキウドンの生みの親は臧さんの父で、先代社長の維清(ユチョン)さん(故人)。1973年から提供を始め、今では来店者の約8割が注文する看板メニューだ。ただ、臧さんは料理名の由来を父から詳しく聞いたことがないという。「当時は外来語が流行していたから、その影響を受けたのかも」

 維清さんは中国山東省出身。50年代に韓国に定住した。来日経験はなく、日本に知人もいなかった。北九州の焼きうどんとつながりはないのか…。諦めかけていると、臧さんがつぶやいた。「そう言えば、父は山東省の友人が作った麺料理を基にアレンジしたと言ってたっけ」

 山東省と言えば、1914年に日本軍が同省青島市へ出兵して以降、日本と関わりが深い土地。わらをもつかむ思いで同省在住の日本人に連絡すると、現地に20年以上暮らす青島日本人学校の事務長、池田光隆さん(73)が興味深い話をしてくれた。

 終戦当時、青島市と周辺には約2万人の日本人が暮らし、中国人学生にも日本語を教える高等教育機関があったという。「当時青島に焼きうどんがあったという話は聞かないけど、街中で日本語が飛び交う環境の中、若かりし維清さんが『焼く』などの言葉を覚え、渡韓後、ヤキウドンの名称を思い付いた可能性はある」と池田さんは指摘する。

 結局、ルーツははっきりしなかったが、臧さんは「北九州で一度日本の焼きうどんを食べ、足りない部分があれば学びたい」と話す。北九州市の市民団体「小倉焼うどん研究所」の竹中康二所長(52)も「両都市の味を食べ比べるツアーを企画すると面白い」と期待する。ヤキウドンの縁が新たな日韓交流を生み出すかもしれない。 (大邱市で金田達依)

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 焼きうどん 北九州市の小倉地区を代表するB級グルメ。戦後直後に小倉北区の鳥町食道街に開店した「だるま堂」が発祥の店とされる。戦後の食糧難で入手困難だった焼きそば用の麺の代わりに、乾麺のうどんをゆでて使ったことがルーツとされる。肉や野菜と一緒にうどんを炒め、ソースで味付けするなどした料理で、市内の多くの飲食店で提供されている。

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