「いげ皿」吉田焼のブランドとして復活 佐賀県嬉野市

西日本新聞 佐賀版 河野 潤一郎

 約400年の伝統を誇る佐賀県嬉野市嬉野町吉田の肥前吉田焼。その歴史の中で明治期に作られ始めた「いげ皿」は、吉田焼や有田焼がある肥前地方で盛んに生産された。「いげ」とは肥前の方言で「とげ」の意味。皿の縁をやすりやかんなで削ったり、型を押し当てたりして均等に凹凸を施す手法だ。

 明治末期から大正、昭和の初めごろがいげ皿生産の最盛期だったが、その後は廃れた。辻与製陶所の6代目、辻賢嗣社長(68)は「いげの武骨さが好きだった。吉田焼のブランドとして復活させたい」との思いを約30年前から抱き続けた。

 先代が病に倒れ、大学卒業後の24歳で後を継いだ。幼いころから陶土を粘土代わりにして遊び、職人が製作に打ち込む姿を見て育ったが、磁器を作る技術は学んでいない。ろくろや絵付けは専門の職人にはかなわない。製品の形や色合いなどを指示し、製造工程のスケジュールを管理するマネジャーの役割「荒仕事(あらしこ)」に徹してきた。

 一方で、焼き物の産地としての存続に危機感があった。「伝統を復活させ次世代につなげる」。2018年に地元の5窯元でいげ皿を作って売り出すプロジェクトを立ち上げた。器の形状やうわぐすりの使い方を追求し、各窯元が独自の製品開発に取り組んできた。

 新型コロナウイルス感染拡大で焼き物の販売は激減。吉田焼も全体で約6割減り、月に数日しか開かない窯元もあるという。打開策として大半の窯元が参加する毎月陶器市を開催。皿や箸置きなど、いげが施された色とりどりの製品も格安で販売している。今月は吉田地区の肥前吉田焼窯元会館駐車場と周辺の窯元で22日午後5時まで。

    ◇    ◇

 嬉野市嬉野町吉田丁4666。販売は午前9時~午後5時。日祝日休み。0954(43)9432。 (河野潤一郎)

佐賀県の天気予報

PR

佐賀 アクセスランキング

PR

注目のテーマ