タイ 王室批判デモ高潮、近年最大となる15万人が参加 

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイ・バンコクの王宮近くで19、20日、大学生グループによる反体制デモがあり、近年最大規模となる約15万人(主催者発表)が参加。学生側は抜本的な王室改革を求めるワチラロンコン現国王宛ての陳情書を当局に提出するなど、タブーだった王室批判をさらに鮮明にした。10月14日に今回を上回る規模のデモを行うとも表明し、王室を巡る混乱はさらに続きそうだ。

 20日午前8時半。学生側は19日午後から王宮前広場で夜通し続いた集会を終え、デモ参加者とともに首相府へ行進するはずだった。だが目的地は急きょ変更。王室関係施設が集まる、広場近くの王宮に大挙して向かった。予告していた「サプライズ」だった。

 警察は王宮を背に、二重三重の警官の列とバリケード、バス、放水車を並べ、行く手を阻止。にらみ合いが続く中、学生側と警察双方の代表者が王宮まで約100メートルの路上で向き合った。学生側の女子大学生はワチラロンコン国王を名指しした上で、8月以降主張してきた不敬罪撤廃や王室予算削減などの王室改革案を受け入れるよう求める陳情書を警察幹部に提出。「(対応なく)時間が過ぎれば王室への疑問はさらに増す」と語った。

 これ以外にも、学生側は王室批判のメッセージを込めた行動に出た。集会を行った王宮前広場は、2014年軍事クーデター以降は王室関連行事以外の使用ができなかった。今回も許可されなかったが19日、デモ参加者らが警官とバリケードを徐々に押し下げ、続々と広場内に侵入。かつての市民憩いの場が“復活”した。恋人と来ていた女性ファイさん(40)は「久しぶりの芝生の感触を表現するなら『自由』かな」。

 1932年の絶対王政廃止を記念してバンコクに設置されていたプレートの新型も20日早朝に披露し、王宮前広場内に埋め込んだ。民主化を象徴する旧プレートは17年、何者かがひそかに撤去し、国王への忠誠心を求める言葉のプレートに換えられていた。今回の新型プレートには、反体制運動を示す3本指を立てた絵と「この国は国王ではなく人民のものだ」との言葉を刻んでいた。

 8月初めの集会で王室批判の口火を切ったアノン弁護士も演説に立ち「王室関係者を訴訟提起できるよう憲法改正すべきだ」などと批判。学生グループのリーダー、パリット氏は20日朝「今回は大きな勝利だが第一歩にすぎない。10月に行うデモが本当の勝負になる」とデモを締めくくった。

 警察は1万人規模を動員し厳戒。懸念された衝突や軍投入はなかったが、政府当局は王室批判を厳しく禁じる方針を示し続けており取り締まり強化は必至だ。

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