江戸時代の平均寿命は現代よりぐっと短かった…

西日本新聞 オピニオン面

 江戸時代の平均寿命は現代よりぐっと短かった。けれど元気なお年寄りがいなかったわけではない。長崎平戸藩の藩士が現役旗本の高齢者リストを書き残しているそうだ

▼最高齢は林奉行を務める井上元七郎という方。御年、何と99歳。次に95歳で土屋讃岐守と皆川治兵衛が続く。80歳以上が25人いて全て何かの役職に就いていた。江戸版の総活躍社会であろうか

▼平戸の藩士は分析した。当藩では80歳超の者はまず隠居する。高齢で働くのは「旗本の人数が多いので張り合う気持ちが強いためだろう」と。以上は「殿様と鼠(ねずみ)小僧」(中公新書)より

▼今日は敬老の日。例年なら子や孫に囲まれる祝いの言葉も、コロナ禍で遠隔から少し寂しい「おめでとう」になる

▼そうでなくても高齢者には生きにくい令和時代ではなかろうか。急速なIT化やデジタル化。皆がスマートフォンを使いこなしていることが前提の社会になりつつある。どうぞ旗本の気分で「年長者を置き去りにするな」と変わり急ぐ世に抗議の声を上げてください

▼話は再び平戸藩。ここに松浦静山という名君がいた。老いの特徴を書き留めている。誰もが通る道なのだと教えてくれるその一節。「手はふるう足はひょろつく歯は抜ける/耳は聞こえず目はうとくなる」「くどくなる気短になる愚痴になる/思い付くことみな古くなる」「またしても同じ話に孫ほめる/達者自慢に人をあなどる」

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ