「こんな悩み」と ためらわずに【しもじもの話】

西日本新聞 くらし面

 2~3年前の頃からでしょうか、同窓会や宴席に行くと男女を問わずいろいろな人から声をかけられるようになりました。ちょっとした人気者になっています。

 話の内容は「尿が近くなったとよねぇ」、「夜2回排尿に起きっとやけど」、「ときどき尿が漏るっとたいなぁ」、「急にトイレがしとうなる」、「勢いのなか」、「あっちが言うこときかんとばってん」などなど。「どぎゃんかならんどかぁ」という相談です。

 日本排尿機能学会の調査(2003年)によると、60歳以上の男女の78%が何らかの排尿トラブルに困っており、日本性科学会の調査(12年)では、60歳以上の男性の65%がED(勃起障害)だそうです。

 だから、還暦を過ぎた人たちは人知れず悩んでいるのでしょう。この際とばかりに「みのるちゃん、泌尿器科やったよね。実は~」とこっそり話しかけられます。人気者は私個人ではなく、泌尿器科医という職業の方でした。

 尿失禁(尿漏れ)や頻尿(尿が近い)、排尿困難(尿が出にくい)などの排尿症状は、それぞれの原因に合わせて生活習慣を工夫したり、薬や手術などの治療で改善したりできます。また、男性の性欲がない、やる気が起きない、憂鬱(ゆううつ)だ、といった症状は男性ホルモン(テストステロン)が低下して起こる男性更年期障害かもしれません。その場合は男性ホルモンを補えば症状が改善します。EDは、バイアグラなどの治療薬があり、適切な使用と服用時のちょっとしたコツで効果を高めることができます。

 こんな悩みは私一人ではないのかとためらうことはありません。年のせいと諦める必要もありません。宴会同席のついでだけではなく、どうぞお気軽に泌尿器科へご相談ください。最近では女性泌尿器科医も増えているので、女性の方も安心です。

 2018年4月より始まった連載も本日で最終回。泌尿器科の魅力を感じていただけたでしょうか。皆さんの中の「恥ずかしいし、できればかかりたくない科」というイメージが少しでも良い方へ変わっていることを願っています。

 おしっこのこと、男性が性のことで困ったら「そうだ、泌尿器科へ行こう」。長い間のお付き合い、ありがとうございました。

(泌尿器科医・池田稔)

=おわり

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