「県内修学旅行」じわり拡大 魅力再発見へ行政が支援

西日本新聞 総合面 佐伯 浩之 片岡 寛 四宮 淳平

 新型コロナウイルスの影響で修学旅行の中止や延期が検討される中、短い移動で、学びを深める「県内旅行」を九州の各県が模索している。宮崎や福岡は、地域の魅力を再発見し、防災についても学ぶコースを作った。観光振興と学びを兼ねながら、子どもたちが楽しみにする修学旅行を実現しようと工夫を凝らす。

 「宮崎の良さを見つけるきっかけにしてほしい」。宮崎県の教育委員会義務教育課は、地元を巡る修学旅行の狙いをこう説明する。

 県内の小学校約230校の多くは例年5~6月、隣の鹿児島県に修学旅行に出掛けていた。県教委は今回、短い移動で3密(密閉、密集、密接)を回避する「県内」に着目した。

 日向神話をテーマにしたステンドグラス(高さ約3メートル、幅約21メートル)やギャラリーもある宮崎ブーゲンビリア空港、国内唯一の公的パイロット養成機関の航空大学校五ケ瀬ハイランドスキー場…。宮崎の魅力や特性を取り込んだ旅程を作成し、10月から本格的に修学旅行で訪れる予定だ。

 空港での目玉は屋上の「エアプレインパーク」。宮城県岩沼市の航空大学校仙台分校で使われたプロペラ機を展示し、操縦席に座ることができる。東日本大震災の発生時は飛行中で難を逃れたといい、災害についても考える。昼食は空港内のレストランのメニューだ。宮崎空港ビルの大坪篤史常務取締役は「宮崎の玄関口である空港の役割を知って、思い出を残してほしい」と話す。

 取り組みを支援しようと、県治山林道協会(会長=黒木定蔵・西米良村長)は、コロナ禍で実施できなかった山村と都市部の児童らの交流事業費300万円を県に寄贈した。

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 福岡県も「県内誘致」に動く。修学旅行に適した約190施設をリストアップし、世界遺産や戦争遺構を巡る計30のモデルコースを準備。九州豪雨(2017年)で被災した朝倉市を訪れるコースでは、被災者の体験も聞く。

 県外校を対象に始めたバス代の補助(1日当たり1台5万円まで)は県内の小中高校などにも拡大。予算約1500万円をオーバーしそうで、約4600万円の追加を見込む。通常は長崎方面への修学旅行が多く、県観光振興課は「地域の魅力を再発見してもらえれば」と話す。

 鹿児島県も「県内校による県内旅行」を支援。バスでの3密を回避するため増便する場合は必要経費を補助し、旅先の県内変更に伴う費用もサポートする。既に修学旅行を終えた学校も補助対象にする徹底ぶりだ。佐賀県も「県内旅行」を支援する。

 熊本県は「次年度への延期」も含めて慎重な検討を求めており、小学校の修学旅行が中学1年で行われるケースも想定する。長崎県は「市町の判断に委ねている」。

 一方、行政側の考え方と各校の判断は必ずしも一致しておらず、例年通り県外への修学旅行を実施する学校もある。 (佐伯浩之、片岡寛、四宮淳平)

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