「次の総理レースへ好発進」河野氏、早くも存在感 人気取り、危うさ指摘も

西日本新聞 総合面 前田 倫之 河合 仁志 一ノ宮 史成

「人気取り」冷ややかな声も

 菅義偉政権が掲げる「省庁の縦割り打破」の宣伝塔として、河野太郎行政改革担当相に耳目が集まっている。発足直後に自身のサイト上に目安箱「縦割り110番」を設け、閣僚が深夜に順番に就任記者会見していく慣例にも「前例主義の最たるものだ」とかみついた。もともと国民の認知度は高い。「次の総理レースへ好発進」「人気取りばかりで地に足が着いていない」と評価は相半ばする。

 河野氏の行革相は2度目。17日の会見では「今回は、国民の側から見ていかに価値をつくるかということから必要な規制改革をやりたい」と国民目線を強調。若手官僚が離職していく風潮に関しても、「霞が関のブラックな状況を何とか『ホワイト化』することの優先順位を高く」と、独特の言い回しで制度改善に意欲を見せた。

 菅氏が発案した縦割り110番は、開設翌日の18日には通報と相談件数、激励メッセージが4千件を突破し、処理容量をオーバーして募集を一時止める事態に。河野氏は、ここでも「『全部読みます』と言った手前、4連休中に一生懸命、目を通したい」と当意即妙な受け答え。と思えば、19日には沖縄北方担当相として沖縄県を訪れ、玉城デニー知事と会談するなど精力的に動く。

 野党時代に自民党総裁を務めた河野洋平元衆院議長を父に持ち、自身も安倍晋三政権で外相、防衛相と重量級閣僚を歴任してきた。

 6月には、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の断念を決断、公表。与党などから根回し不足を突き上げられたものの、世論にはその「突破力」を印象付けた。ツイッターのフォロワー数は約190万人。安倍氏が辞任表明した直後、8月末の共同通信の世論調査では「次の首相にふさわしい人」で石破茂元幹事長、菅氏に次ぐ3位に入っている。

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 かつて2009年の総裁選に挑んだ河野氏。今回もギリギリまで出馬を模索したが、所属する麻生派の領袖(りょうしゅう)・麻生太郎副総理兼財務相が菅氏支持で派内を一本化したため、断念した。

 財界の支援を受ける自民に籍を置きながら入閣前は脱原発を公言し、同僚議員と飲食して仲間づくりに汗をかくことも少なく、「一匹おおかみ」「変人」とやゆされてきた。麻生氏は常々、「ちったぁ常識ってもんを養え。派閥の力なしに(総裁選の推薦人)20人集めることができんのか」「チャンスはいくらでもあんだから」と、地力を蓄えるようじゅんじゅんと河野氏を諭す。

 武器である発信力も、一つ間違えば「もろ刃の剣」となる。昨年10月には、台風19号が甚大な被害をもたらした直後に「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから、既に台風は三つ」などと軽口をたたき、被災者の神経を逆なでした。ある閣僚経験者は冷ややかだ。「突破力は認めるが、世論の目ばかり気にする。おかしな方向に行かなきゃいいが」

 菅氏は、総裁任期の満了する来秋を越えた本格政権を志向しているとされるが、総裁選を争った岸田文雄前政調会長や石破氏らは既に「ポスト菅」を見据える。57歳とまだ若く、同じ神奈川県選出で菅氏と良好な関係を保つ河野氏の「次」はいかに-。 (前田倫之、河合仁志、一ノ宮史成)

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