「妻と再会したよう」形見の百人一首かるた展示 大牟田の資料館「極めて高い史料価値」

西日本新聞 筑後版 立山 和久

三池カルタ・歴史資料館

 江戸時代初期に制作された“歌人を描かない”貴重な百人一首かるたが福岡県大牟田市宝坂町の「三池カルタ・歴史資料館」に展示・保存されている。名古屋市の旧家で育った吉田豊子さん=2007年に74歳で死去=が大切に保管していたものを昨年、夫でオランダ出身の作家ハンス・ブリンクマンさん(88)=福岡市=が寄贈した。16日に資料館を訪れたブリンクマンさんは「かるたは妻の形見。妻と再会したようだ」と懐かしんだ。

 資料館の梶原伸介館長によると、吉田さんのかるたは、江戸時代初期に制作された手書き手作りの「続松(ついまつ)百人一首かるた」。縦8・3センチ、横5・4センチの句札が199枚あり、上の句札が1枚欠けている。

 江戸中期に確立された百人一首かるたは句札に歌人像を描くのが一般的だが、吉田さんのかるたにはない。和歌に合った風景などの歌意図が上下の句札に描かれ、上から和歌を書いている。上下の句札を横に並べると、山水や民家、松、桜など一幅の絵画が完成する趣向になっている。

 遊び方も句札を取り合うのではなく、上と下の句札を合わせて、出現する絵画の美を楽しむことが主流という。当時の上流階級の女性が愛用していたらしい。

 これまで江戸初期に「続松」と呼ばれる絵合わせかるたが流行したことは分かっていたが、句札の存在は確認されていなかった。法政大名誉教授で「かるた研究家」の江橋崇さん(78)=東京都=は「これまで発見されなかった貴重な絵合わせかるたで、史料価値が極めて高い」と分析する。

 吉田さんは名古屋市にある材木問屋の旧家の一人娘。かるたは旧家に伝わり、ブリンクマンさんと結婚し神戸や東京などに転居しても大切に持ち運んでいた。吉田さんが生前、専門施設でかるたを展示保存してほしいと希望していたため、ブリンクマンさんが昨年7月、資料館に寄贈した。

 久しぶりにかるたを見たブリンクマンさんは「妻が玄関にカルタを飾っていた姿が思い浮かぶ。大切に保存・展示してもらい光栄です。妻もきっと喜んでいると思う」と感謝した。

 資料館=0944(53)8780。 (立山和久)

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