荒尾梨「ジャンボ」以外の栽培強化も 市とJA、生産者共販体制に活路

西日本新聞 熊本版 宮上 良二

 熊本県内最大のナシ産地・荒尾市が、「荒尾梨」のブランド力向上と経営安定化のため、生産農家やJAと共に新たな販路拡大事業を計画している。市内ではナシ園前の直売所が多く見られるが、計画では共販体制をつくって販売力を強化。「荒尾ジャンボ梨」で知られる主力品種「新高(にいたか)」は、近年の気象変動で栽培リスクが高くなっており、収穫期の異なる別品種の栽培にも力を入れる。

 市農林水産課によると、同市のナシ農家は約110軒で、最新の産出額は約6億5千万円(2018年度)。生産者の高齢化に加え、顧客の高齢化による販路縮小、異常気象による収穫減や贈答用の需要減などを背景に、農家はここ10年余りで50軒以上減少した。産出額もピーク時から約4割落ち込んでいるという。

 計画によると、JAたまな荒尾梨部会の中に、賛同する部会員による共販体制を構築。市が大手スーパーやデパート、ホテル、飲食店などに取引の意向を調査して新たな販路を開拓し、特許庁の地域団体商標に登録されている「荒尾梨」のブランドで共販による安定供給を図る。

 市のアンケートでは、生産農家の4割が「参加したい」「説明を聞いて判断したい」と関心を示したという。新型コロナウイルスの影響で説明会が遅れているが、梨部会は来年度の共販体制づくりを目指すとしている。半数以上の農家が長年行っている「庭先販売」などの直売については、意向を尊重する。

 一方、荒尾梨の代名詞でもある新高は、収穫期が9月下旬~10月半ばと台風シーズンに重なる上、高温に弱いため、近年の気温上昇傾向が栽培リスクとなっている。そこで、新高よりも収穫期が早く、高温に強い品種「秋月」などの生産も強化する方針だ。

 尾上光洋部会長(59)は「農家とJA、行政が一体となって、100年以上続く荒尾梨の発展に知恵を出し合い、農家の所得向上を実現させたい」と話している。 (宮上良二)

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