質の高い「うきはワイン」造りたい 脱サラ、42歳の妥協なき挑戦

西日本新聞 筑後版 渋田 祐一

 ブドウ作りから醸造まで「うきは」にこだわったワインを造りたい。福岡県うきは市のブドウ農家、山口貴宏さん(42)は、生食用ブドウを栽培する傍ら挑戦を続けている。うきはの土地に適したワイン用の品種を模索中で「ゆっくりでも一歩一歩着実に前へ進み、必ず『うきはワイン』を実現させる」と、努力を重ねている。

 山口さんは鹿児島市出身。大学卒業後、広告代理店に勤めた。35歳のとき「自分の手で何かを作りたい」と、うきは市にある妻の実家のブドウ園で働き始めた。サラリーマンからの転身で、分からないことばかりで苦労の連続だった。手取り足取りは教えてくれない義父の背中を見て技を学び、一日中ブドウ作りに没頭した。今は「これほどやりがいある仕事はない」と思えるまでになった。

 一人前になり、巨峰やシャインマスカットを栽培していると、好きなワインのことが頭によぎった。「造ってみたい」。生食用ブドウを作りながら、2014年、市内に借りていた畑22アールで挑戦を始めた。

 収穫を始めて今年で4年目。「甲州」など7品種を植えて試行錯誤している。ようやく収穫時期の見極めや、完熟の度合いが分かるようになってきた。ただ、うきはの土に合った品質管理のしやすい品種は見つけきれていない。最近の大雨や日照不足で根が傷んだり実が太らなかったり、異常気象にも悩まされている。

 高齢化でブドウ作りをやめる人が増えている地元にも目が向く。「ワイン用の栽培は、生食用ほど手がかからない。作業量は4分の1。軌道に乗ったら、引退したお年寄りでも栽培できる。地域活性化にもなる」

 昨年は天候不順が災いし、できたワインは720ミリリットル瓶で200本だった。今年は700本を見込む。全量を山梨の醸造所で仕込む。来年は、朝倉市にできる醸造所を使い、自分で仕込むつもりだ。

 「応援してくれる人を裏切らないためにも妥協せず質の高いワインを造る。子や孫の世代で、うきは市が名の通ったワイン産地になったらうれしい」。ブドウ生産から醸造までうきは市で完結する、この土地ならではの「うきはワイン」を目指す。

(渋田祐一)

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